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「氷の城壁」第6話「雨宮湊」のネタバレ感想考察

「氷の城壁」第6話「雨宮湊」のネタバレ感想考察

今回は、「氷の城壁」第6話「雨宮湊」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。

前話については、こちらの「氷の城壁」第5話「アレルギー」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

目次

「氷の城壁」第6話「雨宮湊」のあらすじネタバレ

第6話では、物語の視点が主人公の小雪から、クラスの人気者である雨宮湊(ミナト)へと移ります。

湊は、購買帰りのヨータや笑い上戸なハヤトといった友人たちに囲まれ、常にクラスの輪の中心にいる「陽キャ」の代表格です。

しかし、その爽やかな笑顔の裏で、彼は極めて冷静に場の空気を分析していました。

「内輪ネタはウケる」「自分がきっかけで周りが笑うのは最高」と考え、意図的にクラスを盛り上げることで自分の居場所を完璧にコントロールしていたのです。

そんな「空気読みのプロ」である湊にとって、唯一計算が狂ったのが氷川小雪の存在でした。

第5話で小雪のモノマネをして距離を詰めた際、彼には小雪が「全くの無反応」だったように見えていました。

実際には、小雪は彼女なりに必死に笑って返そうとしていたのですが、表情筋が動かなかったためにその努力は一切伝わっておらず、湊は「リアクションがなかった」とモヤモヤした感情を抱きます。

物語の後半、湊の回想により、彼が最初から小雪を意識していたことが判明します。

以前、廊下で見かけた小雪について友人に尋ねた際、「愛想が悪くて浮いている」という噂を聞いていた湊。

彼は不敵な笑みを浮かべながら、「思ったより、難しそうだな」と独り言ち、遠くから小雪を目で追います。

単なる親切心ではなく、何か「裏」を感じさせる湊の視線。

彼がなぜ「浮いている」と知っている小雪にあえて近づこうとしているのか、その真意に謎が残るエピソードです。

以上、第6話「雨宮湊」のあらすじネタバレでした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

「氷の城壁」第6話「雨宮湊」のネタバレ感想考察

第6話は、これまで「爽やかな人気者」に見えていた雨宮湊の、意外なほど「計算高い一面」が露わになった衝撃の回でした。

最も印象的だったのは、湊がただ天然で明るいのではなく、「内輪ネタはウケる」と確信しながら、意図的に笑いを作り出しているという点です。

クラスの空気を読み、自分が中心となって場を回すことに快感を覚える彼の姿は、まさにコミュ力の塊。

しかし、その完璧な「陽のスキル」が通用しなかった小雪に対し、「思ったより難しそうだな」と不敵に笑う姿には、どこかハンターが獲物を狙うような、ゾクッとする危うさを感じました。

小雪側からすれば、第5話での彼女の必死の歩み寄りが、湊には「無反応な鉄壁」として伝わってしまったのが本当に切ないです。

小雪が顔をマッサージしてまで頑張った「笑顔」が、湊にとっては「リアクションなし」とカウントされ、逆に彼の「攻略意欲」に火をつけてしまった……。

この残酷なまでの認識のズレが、物語に不穏な緊張感を与えています。

また、湊が最初から小雪を「浮いている存在」だと知った上で近づいていたことも判明しました。

彼の接近が純粋な優しさからではなく、ある種の「ゲーム感覚」や「裏の目的」によるものだとしたら、中学時代に無自覚な好意で傷ついた小雪にとって、湊は最も危険な相手になりかねません。

湊が抱えるモヤモヤの正体は何なのか、そして彼が小雪をどう「攻略」しようとしているのか。二人の「城壁」を巡る駆け引きから目が離せなくなる、非常に引きの強いエピソードでした。

人気者の裏に隠された「計算高さ」

第6話で最も衝撃的だったのは、クラスの太陽のような存在である雨宮湊が、実は極めてロジカルで「戦略的」に人気者の座を維持していると分かったことです。

彼はただ無邪気に騒いでいるわけではなく、「ここで内輪ネタを放り込めばウケる」「自分がきっかけで場が盛り上がるのは最高だ」と、心の中で冷静に計算しながら立ち回っています。

周囲の反応を的確に予測し、欲しいリアクションを引き出すために自分をプロデュースするその姿は、ある種の「完璧主義者」のようにも見えました。

彼にとってクラスという場所は、自分のコミュ力がどこまで通用するかを確認するための、一種のコントロール下にあるステージなのかもしれません。

そんな湊にとって、第5話での小雪の反応は、これまでの計算が一切通用しない「未知のバグ」のような存在でした。

小雪は彼女なりに必死に笑おうとしていたのですが、それが湊には「完全に無視された」あるいは「拒絶された」と映り、彼の完璧な実績に泥を塗る形になってしまった。

この時、彼が感じた「モヤつき」は、純粋な悲しみではなく、自分の支配(コミュ力)が及ばない相手への苛立ちや、プライドを傷つけられたことによる執着に近いものではないかと感じます。

さらに、小雪がクラスで浮いていることを知った上で「難しそうだな」と不敵に笑う姿からは、彼女をひとりの人間として見ているというよりは、攻略難易度の高い「ゲームのターゲット」として楽しんでいるような危うさが漂います。

この湊の「計算高さ」が、今後、過去のトラウマから過敏に人の悪意を察知してしまう小雪とどうぶつかり合うのか。

彼の計算が崩れた時に、本物の感情が生まれるのか、それとも小雪をさらに深く傷つけてしまうのか。湊の底知れない内面が見えたことで、物語の緊張感は一層高まったと感じます。

湊のプライドを刺激した「小雪の無反応」

第6話の白眉は、クラスを意のままに盛り上げてきた「空気読みの天才」湊が、小雪というイレギュラーな存在によって初めてそのプライドを揺さぶられる描写です。

湊にとって、自分の発言やアクションで周囲が笑うことは、単なる楽しみを超えた「成功体験」の積み重ねでした。

しかし、小雪に対して仕掛けたモノマネという渾身の「歩み寄り」は、彼から見れば完全にスルーされた形になります。

実際には、小雪は彼女なりに必死に悩み、勇気を出して「笑う」という選択をしたのですが、それが表情筋の硬直によって湊には「無」としか映らなかった。

この絶望的なすれ違いが、湊の心にこれまでにない「モヤつき」を生じさせています。

これまでどんな相手も自分のペースに巻き込んできた湊にとって、小雪の(ように見えた)無反応は、自分のコミュ力や存在意義を真っ向から否定されたような衝撃だったはずです。

しかし、彼はそこで引き下がるのではなく、「思ったより、難しそうだな」と、かえって彼女への関心を強めてしまいます。

この時の湊の心理は、純粋な興味というよりも、「自分の力が通用しない相手を屈服させたい、認めさせたい」という、ある種の負けず嫌いや独占欲に近いものに見えます。

小雪が浮いている存在だと知りながら、わざわざ目で追い、攻略対象としてターゲットを絞るような不敵な笑み。

それは、小雪が最も恐れている「土足で踏み込んでくる土足の好意」の再来を予感させます。

小雪の必死の努力が、皮肉にも湊の「ハンターとしてのプライド」に火をつけてしまった。

このボタンの掛け違いが、今後どのような波乱を巻き起こすのか。湊の執着心が、小雪の閉ざされた城壁を力ずくでこじ開けようとするのではないかという、期待と不安が入り混じるエピソードでした。

「攻略対象」として見られた小雪の危うさ

第6話のラストで、小雪を見つめる湊の目が「親しみ」ではなく、まるで難解なパズルを解こうとする「攻略者」のそれに変わった瞬間に、言いようのない危うさを感じました。

小雪はかつて、五十嵐翼という少年から、一方的な好意や「いじり」という名の関心を向けられ、心を深く傷つけられた過去を持っています。

彼女にとって最も恐ろしいのは、自分の意思を無視して「面白い存在」や「変えがいのある存在」として扱われることです。

しかし、湊が放った「思ったより、難しそうだな」という言葉には、まさにその「相手を自分の土俵でコントロールしようとする」傲慢さが透けて見えました。

湊にとって、クラスの全員を笑わせることは自分への自信を裏付けるための「実績」のようなものです。

そんな彼にとって、反応の薄い(ように見えた)小雪は、純粋な友人候補ではなく、自分のスキルを証明するための「高難易度なターゲット」へと格下げ、あるいは特殊化されてしまったのではないでしょうか。

彼が小雪を「愛想が悪くて浮いている」と知りながら目で追う姿は、彼女の孤独に寄り添おうとする優しさというより、誰も落とせなかった城壁を自分が崩してみたいという、ある種のゲーム感覚に近い不気味さを孕んでいます。

小雪は、第5話で自分なりに精一杯の努力をして笑顔を作ろうとしました。

しかし、その健気な一歩が、皮肉にも湊の「攻略欲」という火に油を注いでしまった形になります。もし湊が、小雪の抱える本質的な痛みや「放っておいてほしい」という切実な願いを無視して、自分のプライドのために距離を詰めてくるとしたら……それは小雪にとって、中学時代の悪夢の再来になりかねません。

湊という「光」の存在が、今の小雪にとっては救いではなく、平穏を脅かす「暴君」になってしまうのではないか。二人の関係が、互いの理解ではなく「攻略と防衛」という歪な形から始まってしまうことへの危うさが、強く印象に残る回でしたね。

以上、第6話「雨宮湊」の感想考察でした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

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