今回は、「氷の城壁」第80話「夏休み」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第79話「停止と進行」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第80話「夏休み」のあらすじネタバレ
第80話、季節が夏休みを迎えようとしていました。
演劇の練習に盛り上がっていた湊達と、魔法のランプを題材にしたお芝居をするみたいで、小道具作りや演技の練習に盛り上がっています。
小雪は芝居に参加せず、月子と一緒に道具係に勤しんでいました。
美姫や湊に陽太はお芝居に参加するみたいで、今も猛練習中と楽しげに魔法のランプの演劇練習に励み、陽太と美姫は楽しそうに芝居に打ち込んでいます。
仲よさげな二人と、安堵している小雪。
湊とも普通に話せると安心する小雪は、これで良かったのだと、今のこの関係が自分にはちょうど良いと、今のこのバランスを崩したくないと願っていました。
以上、第80話「夏休み」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第80話「夏休み」のネタバレ感想考察
第80話は、文化祭の準備という華やかな喧騒の中で、小雪が自ら選んだ「居場所」の危うさが際立つ回でした。
魔法のランプを題材にした演劇に打ち込む湊、陽太、美姫の三人と、あえて舞台には立たず道具係として裏方に回る小雪。
この対照的な構図は、今の彼女の心理状態をそのまま表しているようで、見ていて切なさがこみ上げてきます。
スポットライトを浴びて輝く友人たちを、少し離れた場所から見守ることで「これでいいんだ」と自分に言い聞かせる姿は、一見すると献身的ですが、その実、自分が傷つかないための防衛線を必死に守っているようにも見えました。
特に、楽しそうに芝居の練習に励む陽太と美姫を見て安堵する小雪の心理描写には、彼女の深い優しさと、それゆえの寂しさが同居しています。
かつては自分がその輪の中に入ることを拒絶していた彼女が、今はその輪を「壊さないこと」を最大の願いとしている。
その変化自体は大きな成長と言えますが、湊とも普通に話せる今の状況を「ちょうど良いバランス」だと定義してしまうのは、あまりに自分を抑え込みすぎではないかと心配になります。
舞台の小道具を作りながら、輝く日常の「観客」に徹しようとする小雪の願いは、波風の立たない平穏を約束してくれるかもしれません。
しかし、芝居に熱中する湊たちの熱量や、美姫と陽太の間に流れる親密な空気は、小雪が望む「静止した関係」をいつまでも許してはくれないはずです。今のバランスが保たれているのは、あくまで嵐の前の静けさに過ぎず、文化祭という特別な行事に向けて加速していく周囲の感情が、小雪が必死に守る城壁を内側から揺さぶっていく予感がしてなりません。
自分の本当の気持ちに蓋をしたまま、誰も傷つかない結末などあるのか。賑やかな練習風景の裏側で、一人静かに安堵する小雪の横顔に、物語のさらなる深まりを感じるエピソードでした。
スポットライトの外側にある安堵
魔法のランプの演劇練習で輝く湊や陽太、美姫を、道具係として一歩引いた場所から見守る小雪の姿が、今の彼女の心理状態を如実に表していました。
主役たちの賑やかな喧騒に加わらず、あえて裏方に徹することで「これでいいんだ」と自分に言い聞かせる姿には、見ていて切なさがこみ上げます。
彼女にとってスポットライトを浴びる場所に立つことは、自分の感情が露呈してしまうリスクを伴うのでしょう。
今の平穏を維持するために、あえて観客側の立場を望む彼女の選択は、かつての孤独とは違う、守るための孤独を選んでいるように見えました。
「ちょうど良い距離」の危うさ
湊と普通に話せる今の状況を「ちょうど良いバランス」だと定義し、このまま時が止まればいいと願う小雪の独白には、人間関係のままならなさが凝縮されています。
彼女にとって、恋が成就することよりも、今の居場所を失わないことの方が切実な問題となっているのでしょう。陽太と美姫の楽しげな様子を見て安堵する優しさは本物ですが、それは同時に、自分の本当の気持ちに蓋をして生きるという痛々しい自己犠牲の上にあるものです。
自分を抑え込むことで保たれる平和が、どれほど脆い均衡の上に成り立っているのかを痛感させられました。
動き出す日常と城壁の揺らぎ
小道具を作りながら静かな平穏を望む小雪の思いとは裏腹に、文化祭という特別な行事に向けて加速していく周囲の熱量が、不穏な空気を醸し出しています。
湊たちの芝居への熱中や、美姫と陽太の間に流れる親密な空気は、小雪が必死に守ろうとしている「静止した関係」をいつまでも許してはくれないはずです。
どんなに城壁を高く積み上げても、季節の移ろいや他者の感情まではコントロールできません。
賑やかな練習風景の裏側で、一人静かに安堵する小雪の横顔には、嵐の前の静けさのような緊張感が漂っており、今後の物語の波乱を予感させる回でした。
以上、第80話「夏休み」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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