今回は、「氷の城壁」第66話「価値観」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第65話「認識」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第66話「価値観」のあらすじネタバレ
様子がおかしいと、陽太の雰囲気に異変を感じていた湊から、今回の第66話は始まっていきます。
体育祭の打ち上げの時から様子がおかしいと、挙動不審な陽太。
何か隠しているのかと、心ここにあらずと、ぼーっとしている彼に加え、美姫までもが様子がおかしいです。
いつも明るい美姫が、まるで何かを考えているかのように、心ここにあらずな様子と、陽太と同じ状況に、湊は美姫に尋ねていきます。
別に大丈夫だと、ちょっと眠いだけだと、笑って誤魔化そうとする美姫ですが、陽太に視線を向ける事ができません。
まさか自分の事が好きだなんてと、陽太とは友達と思っていたはずが、まさかの好意に戸惑う美姫。
バイト先でも悩んでしまい、先輩にどうしたのかと尋ねられてしまう彼女は、陽太との事を相談します。
はたして美姫の決断は?
以上、第66話「価値観」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第66話「価値観」のネタバレ感想考察
第65話の衝撃的なアクシデントを経て、第66話では二人の間に流れる空気が完全に一変してしまいましたね。
「友達」という安定した関係が崩れ、正体のわからない「意識」が入り込んできた時の戸惑いとぎこちなさが、湊という第三者の視点を通すことでより鮮明に浮き彫りになっていました。
特筆すべきは、周囲から見れば「バレバレ」なほどに挙動不審になっている陽太と、それを直視できずに必死で取り繕う美姫の対比です。
いつもグループを明るく照らす太陽のような二人が、揃って「心ここにあらず」で機能不全に陥っている様子は、彼らにとってこの出来事がいかに天変地異に近い衝撃だったかを物語っています。
湊の鋭い観察眼が、読者が感じている「ただならぬ気配」を言語化してくれることで、物語の緊張感と甘酸っぱさが一層引き立てられていました。
そして、美姫がバイト先の先輩という「少し離れた視点」を持つ大人に相談を持ちかける展開も非常にリアルです。
同級生の友人たちにはまだ言えない、整理のつかない感情を吐露する中で、彼女が陽太という存在を自分の中でどう定義し直していくのか。友情と恋心の境界線に立つ彼女の揺れ動く心理描写が、非常に丁寧に、そしてもどかしく描かれた回でした。
崩れた日常のバランス
体育祭の打ち上げという、本来なら賑やかで楽しいはずの場において、陽太と美姫の二人が揃って「挙動不審」に陥っている描写は、読者に強い緊張感を与えました。
湊が抱いた「何か隠しているのか」という違和感は正解であり、これまで完璧な調和を保っていた4人のグループに、ついに逃れられない変化の波が押し寄せたことを象徴しています。
心ここにあらずで、ぼーっとしている陽太の姿は、彼がいかに美姫という存在を自分の中で巨大に膨らませていたかを物語っており、その彼を直視できずに視線を泳がせる美姫の姿は、かつての「気兼ねない友人」には二度と戻れないという残酷で愛おしい事実を突きつけていました。
友情の皮を剥いだ本音
「まさか自分のことが好きだなんて」と自問自答する美姫のモノローグには、彼女がこれまで築いてきた「男女の友情」への絶対的な信頼と、それが崩れた瞬間の当惑が凝縮されています。
彼女にとって陽太は、性別を超えて魂を許し合える最高の相棒だったはずです。
しかし、一度「好意」というフィルターを通して彼を見てしまうと、これまでの何気ない優しさや気遣いがすべて別の意味を持ち始めてしまいます。
友達だと思っていた男子からの「まさかの好意」を突きつけられた時、彼女の中に生まれたのは拒絶ではなく、自分でも処理しきれないほど膨れ上がった「戸惑い」でした。
その戸惑いこそが、彼女の中で新しい感情が芽生え始めている何よりの証拠に他なりません。
揺れる背中と下される決断
悩みを抱えきれず、バイト先の先輩に相談を持ちかけるシーンは、美姫の心の切実さを象徴していました。
同年代の友人たちにはまだ形にできていない感情だからこそ、一歩引いた立場の先輩に委ねるしかなかったのでしょう。
陽太との関係を「壊したくない」という願いと、知ってしまった「彼の想い」にどう応えるべきかという責任感。
それらが複雑に絡み合い、答えを出せずに彷徨う美姫の背中は、いつになく小さく、脆く見えました。
はたして彼女が出す答えは、二人の関係をより深い絆へと導くのか、それとも埋められない溝を作ってしまうのか。
彼女の決断が物語の未来を左右する、まさに運命の岐路に立たされた回でした。
以上、第66話「価値観」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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