今回は、「氷の城壁」第33話「狐」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第32話「ピース」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第33話「狐」のあらすじネタバレ
今回のお話のスタートは小雪の過去の回想からとなります・・・
なんだか重い雰囲気の中、両親から告げられてしまったのは、なんと離婚するとの事。
これは思春期の女の子にとって、大きな心の重荷になる問題です。
両親が前々から仲が悪かったと知っていた小雪でしたが、自分が居る事で両親は離婚しないと思っていましたが、そんな想いはあっさりと裏切られてしまったと、ショックの中で、自分は不必要な存在だったのだと、大きな傷を残してしまう事となります。
そしてそれに合わせての部活での孤立。
脳筋な顧問にいつも駄目出しばかりされてしまい、やる事なす事全てが空回りになっていきます。
ついには部活に行く事すら苦痛に思い、部活を辞める事となってしまいます。
そんな辛い過去があった小雪は、陽太も自分と同じように孤独を感じているのではと、共感を抱くようになっていました。
放課後に会いたいと、一緒に帰ることになった小雪と陽太。
二人は何を伝えるのでしょうか?
以上、第33話「狐」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第33話「狐」のネタバレ感想考察
今回の回想シーンは、小雪がなぜあそこまで「自分がいる意味」を見失い、心を閉ざしてしまったのかを痛いほど分からせてくれました。
「自分がいるから両親は繋がっている」と信じていた健気な想いが、離婚という現実で木っ端微塵にされる。
それは彼女にとって、単なる家族の解体ではなく、自分自身の存在意義の否定だったのですね。
さらに、心の逃げ場であるはずの部活でも、理解のない顧問や孤立によって居場所を奪われる。
家庭と学校、その両方で「不必要」というレッテルを貼られた彼女の絶望は、想像を絶するものだったはずです。
だからこそ、陽太の「明るさの中に潜む孤独」に気づいたとき、それは単なる好奇心ではなく、痛切な自己投影になったのだと感じました。
「彼も、私と同じように笑いながら独りでいるのではないか」という予感。
その共感が、他人を避け続けてきた小雪に「一緒に帰りたい」と言わせた。
放課後の帰り道、二人が何を語るのか。
傷ついた過去を持つ小雪が、初めて自分から踏み出そうとする姿に、大きな勇気と切なさを感じるエピソードでした。
「不必要な存在」という烙印、小雪を壊した絶望の回想
小雪がこれまで抱えてきた「生きづらさ」の根源が、あまりにも残酷な形で描かれていました。
「自分がいるから両親は繋がっている」という幼い願いは、彼女にとって生きるための杖だったはずです。
しかし、離婚という現実はその杖を容赦なく折り、彼女を「自分の存在には二人を繋ぎ止める価値さえなかった」という絶望の淵へと突き落としました。
家族という最小単位の社会で「不必要」という烙印を押された衝撃は、彼女の自己肯定感を根本から破壊してしまったのでしょう。
追い打ちをかけるような部活での孤立も、単なる不運ではありません。
家庭で自信を失った彼女は、過剰に空気を読み、失敗を恐れ、それが「脳筋な顧問」や周囲とのズレを生んでしまった。
「どこにも居場所がない」という感覚が、彼女の心を防衛本能としての「無関心」や「諦め」へと追い込んでいったプロセスが克明に伝わり、読んでいて胸が苦しくなる回想でした。
重なる孤独の記憶、陽太の中に自分を見た小雪の共鳴
小雪が陽太に対して抱いた感情は、単なる好意以上に切実な、「魂の呼び合い」のようなものだったのではないでしょうか。
家族の中で「余分な存在」だと思い知らされてきた小雪だからこそ、陽太の完璧すぎる笑顔の裏に潜む「居場所を守るための無理」を、鋭敏に感じ取ってしまいました。
自分がかつて家庭を繋ぎ止めようとして失敗したように、陽太もまた、新しい家族という「ピース」を繋ぎ止めるために自分を押し殺しているのではないか。
その共鳴は、小雪にとって恐怖であると同時に、初めて得られた「理解者」への希望でもあります。
「この人なら、私の空虚さを笑わないかもしれない」という直感。
他人に踏み込まれることをあんなに拒んでいた彼女が、自分から陽太の手を引くように「会いたい」と告げたのは、彼の中に残る孤独を、自分自身の記憶と重ね合わせて放っておけなくなったからだと感じます。
初めての「放課後」、小雪が勇気を出して踏み出した一歩
「一緒に帰ろう」という一言が、これほどまでに重く、尊く響く瞬間はありませんでした。
これまでの小雪にとって、放課後は「逃げ帰るための時間」か、あるいは「独りでやり過ごすための空白」でしかなかったはずです。
しかし、陽太の中に自分と同じ孤独の影を見たことで、彼女の心に「彼を知りたい、そして自分のことも知ってほしい」という、かつてないほど強い意志が芽生えました。
不純な動機で始めた図書委員や、偶然の重なりだったコンビニの肉まん。
それまでは「流されるまま」だった小雪が、初めて自分の足で地面を蹴り、他者の領域へ自ら踏み出した一歩。
それは、自分を「不必要な存在」だと決めつけていた過去の自分に対する、最大の反抗であり、再生への大きな転換点です。
夕暮れの中、二人が並んで歩き出す光景は、壊れた「ピース」たちがようやく正しい場所を見つけようとしているような、静かな希望に満ちていました。
以上、第33話「狐」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


コメント