今回は、「氷の城壁」第45話「軋轢」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第44話「進歩・足踏み」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第45話「軋轢」のあらすじネタバレ
小雪と共にフードコートに訪れていた湊・・・でもそこには何と小雪の因縁の相手である五十嵐が来ていました。
まさかこんなところで偶然に再会してしまうとは?
まだこちらに気づいていない様子なので、五十嵐と合わせてはいけないと、美姫に相談する湊ですが、小雪は二人が仲よさげに話しているように見えてしまい、慌てて陽太から視線を逸らします。
カレーを食べに来ただけなのに、こんな事になってしまうとは!
でも五十嵐は小雪のことを忘れている感じだったと、あまり気にしなくても良いかもと、そんな事を考えていた最中、美姫からとんでもない事を聞いてしまいます。
それは次の彼女と仲良くしているのではと、聞き捨てならない発言でした。
聞き返す湊に慌てて美姫は、今のは適当に言った発言と、五十嵐の現在の恋愛事情を知らないと言う美姫。
湊の心にイヤな痼りが残ります。
以上、第45話「軋轢」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第45話「軋轢」のネタバレ感想考察
フードコートという開放的な場所での五十嵐との遭遇は、読んでいる側としても心臓が止まるような衝撃がありました。
小雪がどれほど彼によって傷つき、今もなおその影に怯えているかを知っているからこそ、湊が「絶対に会わせてはいけない」と必死になる姿には、彼の強い守護心と小雪への深い想いが痛いほど伝わってきます。
しかし、その必死な姿が、事情を知らない小雪の目には「湊と美姫が親密に話している」と映ってしまい、目を逸らさせてしまうという皮肉なすれ違いが本当にもどかしく、切ないです。
また、五十嵐が小雪のことを忘れているという事実は、一見安堵すべきことのように思えますが、被害者である小雪の傷の深さを考えると、あまりにも身勝手で残酷な無関心に感じられました。
誰かの人生を狂わせるほどの傷を与えておきながら、自分は平然と「次の誰か」と笑っているかもしれない。
美姫の何気ない、あるいは適当な一言が、湊の心に拭い去れない嫌な痼りを残したのも当然のことと言えます。
せっかくの楽しい食事が、過去の因縁と現在進行形の誤解によって一気に重苦しいものへと変わってしまったこの回は、湊にとっても小雪にとっても、再び自分たちの心や過去と向き合わなければならない試練の始まりのように感じました。
因縁の相手との遭遇と湊の奔走
五十嵐という、小雪の平穏を脅かす最悪の存在に気づいた瞬間、湊が即座に「彼女を守る」ために動いた姿が非常に印象的でした。
楽しいはずのフードコートでのひとときが、一転して戦場のような緊張感に包まれる中で、湊の頭の中は小雪に五十嵐を視認させないこと、そして彼女を傷つけずにこの場を切り抜けることで一杯だったはずです。
美姫を巻き込んでまで必死に立ち回るその奔走ぶりは、彼がどれほど強く小雪を想い、彼女の過去の傷を自分のことのように大切に扱っているかを証明しています。
しかし、そのあまりの必死さが、皮肉にも小雪に「湊と美姫が自分を置いて楽しげに話している」という全く別の不安を与えてしまったことが、このシーンをより一層苦しくさせています。
湊の優しさが空回りし、小雪が独りきりで視線を逸らす様子は、守りたい男と怯える女のすれ違いが鮮明に描かれた、痛々しくも切ない場面でした。
五十嵐の「忘却」という残酷な無関心
加害者側である五十嵐が小雪のことを「忘れている」という描写は、小雪が今もなお抱え続けている苦しみの重さと対比され、非常に残酷に感じられました。
小雪にとって五十嵐は、今でもその存在を意識するだけで動悸がしたり、視線を逸らしてしまったりするほどの深いトラウマを植え付けた人物です。
しかし、当の五十嵐にとっては、彼女は「過去にいた大勢のうちの一人」に過ぎず、記憶に留める価値さえない存在であるという事実。
この圧倒的な温度差こそが、心の傷を負わされた側にとっての最大の屈辱であり、癒えない痛みの根源なのだと痛感させられます。
悪意を持って攻撃されること以上に、自分が受けた深い傷など無かったかのように「忘れ去られている」という無関心は、彼女の存在そのものを否定されているようで、読んでいて非常にやるせない気持ちになりました。
美姫の失言と湊の心に残った痼り
美姫が何気なく放った「次の彼女と仲良くしているのでは」という言葉は、その場の空気を一変させるほどの不穏な響きを持っていました。
たとえそれが適当な推測であったとしても、五十嵐という男の不誠実さを知っている湊にとっては、決して聞き流せるものではありません。
小雪をあんなにもボロボロに傷つけておきながら、自分は平然と次の誰かに乗り換え、また同じようなことを繰り返しているかもしれない。
その想像は、湊の中に強い嫌悪感と、得体の知れない「痼り」を残しました。
美姫が慌てて否定し、現在の事情は知らないと釈明したことで表面上は収まりましたが、一度芽生えた不信感は消えません。
この言葉によって、五十嵐が「過去の終わった脅威」ではなく、今もどこかで誰かを傷つけているかもしれない「現在進行形の不快な存在」として湊の心に深く刻まれてしまったことが、今後の波乱を予感させます。
以上、第45話「軋轢」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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