今回は、「氷の城壁」第58話「霹靂」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第57話「色違い」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第58話「霹靂」のあらすじネタバレ
最近、何故か桃香に懐かれてしまう小雪・・・
今日は一緒に寄り道し、一緒にクレープを食べていました。
自分とは違い、陽キャな桃香。
そんな彼女に男の人と友達になるには、どうすれば良いのかと尋ねられてしまいます。
「え? それ私に聞く?」
小雪はタジタジになってしまい、どう答えれば良いかわかりません。
気づけばこうなっていたと、そんな事を言えるわけもなく、美姫と一緒にいたからこそ、こんな風に仲良くなれてしまったと、ただ知らない間に友達になっていたと説明します。
こんな説明で良いかと悩む小雪ですが、桃香は誰か好きになった人はいないかと訊ねます。
そして湊のことが好きにならないかと、この時に自分は湊のことをどう思っているのかを考えてしまいます。
陽太とは自然と友達で居られるけど、湊は?
もやもやした気持ちに悩まされます。
以上、第58話「霹靂」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第58話「霹靂」のネタバレ感想考察
第58話は、トラブルメーカーの予感が漂う桃香が、小雪の心の最も柔らかい部分に土足で踏み込んでくるような、ヒリつく緊張感のある回でした。
まず、小雪が「陽キャ」の象徴のような桃香に振り回され、クレープを食べている図そのものが、以前の彼女からは考えられない光景です。しかし、その何気ない放課後の風景が、桃香の「男の人と友達になるには?」という問いかけによって一変します。
小雪が自分の対人関係を振り返り、「気づけばこうなっていた(美姫がいたから)」と自己分析する姿は、彼女の謙虚さと、これまでの歩みが周囲の助けによるものだったという自覚を表していて、読者としては彼女の成長を再確認させられます。
しかし、後半の桃香の問いかけは、まさに「青天の霹靂(へきれき)」でした。「湊のことを好きにならないか」という直球の揺さぶりは、小雪がこれまで無意識に蓋をしてきた、あるいは言語化を避けてきた湊への感情を無理やり引きずり出してしまいました。
「陽太とは自然に友達でいられるけれど、湊は?」という比較。この「もやもや」こそが、友情という安全な場所を越えてしまった恋の萌芽そのものです。桃香という異分子によって、小雪が自分の心に潜む「湊への特別な感情」に直面させられてしまう、波乱の展開に目が離せません。
桃香の強引な急接近
小雪にとって、桃香のような「陽キャ」の極致にいるタイプは、本来であれば最も苦手とし、無意識に避けてきた人種だったはずです。
しかし、そんな桃香に懐かれ、あまつさえ一緒にクレープを食べるという「普通の高校生らしい放課後」を過ごしていること自体が、今の小雪の変化を鮮烈に物語っています。
桃香の態度は、親しみやすさの裏側に、相手のテリトリーへ土足で踏み込んでくるような無遠慮さが同居しており、読者には得体の知れない不穏さを感じさせます。
小雪を「自分とは住む世界の違う静かな人」として敬遠するのではなく、むしろ恋愛の駆け引きの相手として認識し、積極的に巻き込んでいく桃香の強引さ。
それは、ようやく穏やかな日常を手に入れ始めた小雪の周囲をかき乱す、新たな嵐の予感として強烈な印象を残しました。
鏡に映る自分の対人関係
桃香からの「どうすれば男の人と友達になれるのか」という唐突な問いは、小雪にとって自分自身のこれまでの道のりを強制的に振り返らせる鏡のような役割を果たしていました。
「気づけばこうなっていた」という小雪の回答は、一見すると無責任なように聞こえるかもしれません。
しかし、その言葉の裏側には、美姫という存在が強引に、そして優しく自分の手を引いて外の世界へ連れ出してくれたことへの深い感謝と、彼女がいたからこそ湊や陽太という縁が繋がったという、謙虚な自己分析が詰まっています。
桃香という全く質の異なる存在から問いかけられたことで、小雪は自分一人の力ではなく、周囲の優しさによって自分の「城壁」が少しずつ崩され、今の豊かな人間関係が築かれたのだという事実に、改めて直面させられたのです。
湊への想い、正体不明の「もやもや」
第58話のクライマックス、桃香が放った「湊を好きにならないの?」という問いかけは、小雪の心の中にあった「名前のない感情」に無理やり光を当てる、まさに霹靂のような一撃でした。
これまで小雪は、陽太に対しては「太陽のような憧れ」という明確な定義を持って接してきました。
しかし、湊に対して抱いている感情は、それとは明らかに質が異なり、もっと揺らぎやすく、不安定なものです。
陽太となら自然に、友達として笑い合える。それなのに、湊のことを考えようとすると、胸の奥がざわつき、言葉にできない「もやもや」が視界を濁らせてしまう。この正体不明の違和感こそが、友情という安全圏を越えた先にある「恋」の入り口であることに、小雪はまだ気づいていません。
桃香という異分子に揺さぶられたことで、小雪の心は、かつてないほど激しく、そして切なく波立ち始めています。
以上、第58話「霹靂」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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