今回は、「氷の城壁」第52話「中学」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第51話「不穏分子?」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第52話「中学」のあらすじネタバレ
今回のお話は中々に重たい感じのするスタートから始まります。
中学生時代の小雪は真夏と衝突していました。
同じバスケ部に所属し、美姫と仲が良かっただけなのに、いい気になっていると扱われてしまう小雪。
でも彼女はそんな真夏に対してちゃんと向き合おうとしていました。
話題を振り、頼り、親しくなろうと努力していた小雪ですが、真夏は事あるごとに小雪のことを悪く言い、大きな隔たりを埋めることは出来ず、余計に深くなるばかり。
一つ一つの行動をあざけ笑い、ケチをつけてくる陰口。
やがて部活に行く事にもしんどさを覚え、部活を辞める事になります。
でも真夏からの嫌がらせは続き、ついにあの事件が起きてしまいます。
小雪が真夏にいじめられていると知り、怒った美姫が真夏に詰め寄り、勢いでガラスを割ってしまい、大騒ぎに包まれてしまうクラス。
そして決定的に真夏との関係が破綻した事件。
小雪にとって大きなトラウマになっていました。
以上、第52話「中学」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第52話「中学」のネタバレ感想考察
第52話は、小雪がなぜ「城壁」を築くに至ったのか、その根源にある痛ましすぎる過去がついに紐解かれる回でした。
何よりも胸が痛むのは、中学生時代の小雪が真夏に対して「向き合おう」と懸命に努力していた点です。
相手を頼り、話題を振り、歩み寄ろうとした彼女の純粋な善意が、真夏という歪んだ存在によってすべて「あざけり」の対象に変えられてしまった残酷さに言葉を失います。
一つ一つの行動にケチをつけられ、陰口に晒されながらも部活に行き続けた小雪の孤独と、心が摩耗していく過程が、今の彼女の臆病さと重なって非常に重く響きました。
そして、小雪を想う美姫の優しさが、結果として最悪の形で爆発してしまった「ガラス割れ事件」の描写は、あまりにも悲劇的です。
友人を守りたいという美姫の正義感が、取り返しのつかない騒動を引き起こし、クラスを騒然とさせ、結果的に真夏との関係を修復不可能なまでに破綻させてしまった。
救いたいと願った手が、逆に事態を最悪の結末へと導いてしまった事実は、小雪にとっても美姫にとっても、消えない楔のように心に突き刺さったままだったのだと感じさせられます。
小雪が今、湊や月子と穏やかに過ごしながらも、どこかで常に怯えていた理由がすべてこの過去に詰まっていました。中学時代の彼女がどれほど絶望し、周囲を信じることを諦めてしまったのか。
その傷の深さがこれ以上ないほど鮮明に描かれており、読み進めるのが苦しくなるほど切実なエピソードでした。
摩耗していく少女の心
中学生という多感な時期に、勇気を出して差し伸べた手が何度も冷酷に振り払われる。小雪の心が崩れていく過程は、あまりに一方的で痛ましいものでした。
自分を嫌っている相手に歩み寄るのは、大人でも至難の業です。
それでも小雪が「ちゃんと向き合おう」と努力し、共通の話題を探したり頼ったりしたのは、彼女の中に相手を信じたいという純粋な善意があったからです。
しかし、その懸命な一歩一歩が真夏にとっては格好の攻撃材料になり、あざ笑いや陰口の火種にされてしまいました。
「何をしても無駄だ」「自分の存在そのものが否定されている」という感覚が、小雪から少しずつ生気を奪い、部活という居場所を奪い、最終的には他人を信じる力さえも奪っていきました。
あの時、彼女が一人で耐えていた時間の長さと、静かに摩耗していった心の痛みを想うと、今の彼女が「城壁」を築くことで自分を守ろうとしたのは、生き延びるための切実な防衛本能だったのだと痛感させられます。
正義が招いた悲劇的な結末
美姫が放った正義感という名の熱量は、皮肉にも小雪の傷口を広げ、取り返しのつかない破滅を招いてしまいました。
友人が理不尽に虐げられている状況で、怒りを爆発させた美姫の行動は、純粋な友情ゆえのものでした。
しかし、勢い余ってガラスを割ってしまうという暴力的な展開は、事態を「部活内の不和」から「学校全体を揺るがす大事件」へと変質させてしまいます。
騒然とする教室、飛び散る破片、そして周囲の冷ややかな視線。守りたかったはずの小雪を、美姫は望まぬ騒動の渦中へと突き落としてしまったのです。
真夏との決定的な破綻。それは同時に、小雪が「誰かに助けを求めれば、状況はさらに悪化する」という絶望的な教訓を得た瞬間でもありました。
正義が必ずしも救いになるとは限らないという残酷な現実。
この時流した涙と、割れたガラスのように粉々になった人間関係は、小雪と美姫の二人の間に、今日まで癒えることのない深い楔(くさび)を打ち込んでしまったのだと感じます。
消えない中学時代の楔
中学時代に打ち込まれた「楔」は、単なる思い出の一部ではなく、小雪の思考と行動を縛り続ける重い鎖となってしまいました。
あの事件以降、小雪にとって他人と関わることは「傷つくリスク」だけでなく「誰かを巻き込み、壊してしまうリスク」へと変わってしまったのだと感じます。
美姫という唯一無二の理解者がいながらも、小雪がどこか一線を引いて「城壁」の中に閉じこもるようになったのは、大切な人を二度とあのような騒動に巻き込みたくないという、彼女なりの悲痛な愛情表現でもあったのでしょう。
時間が解決してくれるはずの傷跡は、真夏の面影を持つ秋音の登場によって、鮮血が滲むほど生々しく抉り出されました。
この楔を抜くためには、過去をやり過ごすのではなく、今の仲間である湊や月子、そして美姫とともに、あの日の絶望を塗り替えるような強い絆が必要なのだと改めて痛感させられるエピソードでした。
以上、第52話「中学」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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