今回は、「氷の城壁」第31話「親情」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第30話「新学期」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第31話「親情」のあらすじネタバレ
今回のお話では、湊が陽太と小雪の関係にモヤモヤしているところから始まっていきます。
二人が仲よさげに過ごしているのを想い出すだけで、胸の中がモヤモヤしてしまう湊。
陽太を好きになっても苦しむだけなのにと、とてもネガティブな事を考えてしまいます。
そんな小雪は霜島と一緒に図書委員の仕事をしていました。
想像以上に暇な仕事と、保健室に行くよりも気軽な気がすると、これからもっと利用しようかなと、不純な事を考えていると、霜島にどうしたのと尋ねられます。
意外に快適だと、予想外の事を言う小雪に、以外にマイペースで天然なのかと考えてしまう霜島は、小雪との距離感を縮めていきます。
図書委員の仕事を終えて帰宅する中、小腹が空いた小雪はコンビニへと寄りますが、そこには陽太と出会ってしまいます。
そしてそのまま陽太に肉マンをおごって貰う小雪と、なにやら良い雰囲気になっていきますね。
以上、第31話「親情」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第31話「親情」のネタバレ感想考察
今回の見どころは、なんといっても「湊の自覚なき独占欲」と「小雪の無防備な広がり」の対比です。
まず湊ですが、これまでは何事も合理的に分析してきた彼が、「陽太と一緒にいても苦しむだけ」とネガティブな決めつけをしてしまうところに、彼の余裕のなさが透けて見えますね。
それは小雪を心配している体の「嫉妬」であり、自分の制御できない感情に振り回されている証拠です。
かつて元カノたちに「無関心」だと言われた彼が、ここまで他人の動向に胸をザワつかせている姿には、皮肉な人間味を感じます。
一方で、当の小雪が図書室という新しい居場所を見つけ、霜島や陽太と自然に交流している姿には救われる思いがしました。
特に霜島とのやり取りで見せた「天然な一面」は、彼女が少しずつ心の鎧を脱ぎ、本来の柔らかさを取り戻しつつある兆しではないでしょうか。
そしてラスト、コンビニでの陽太との肉まんエピソード。
この何気ない、けれど温かい日常の風景が、過去のトラウマに縛られた小雪の心をどれほど溶かしていくのか。湊の「モヤモヤ」が爆発するのも時間の問題かもしれません。
湊の焦燥、正義感の裏に隠れた「独占欲」の芽生え
湊にとって、これほどまでに「理屈に合わない不快感」を味わうのは人生で初めてのことではないでしょうか。
「陽太を好きになっても苦しむだけ」という言葉は、一見すると小雪の幸せを案じているように聞こえます。
しかし、その正体は「彼女を他の誰にも渡したくない、自分だけの視界に入れておきたい」という、極めて人間臭い独占欲に他なりません。
かつては他人との衝突を避け、無関心という名の平穏を選んできた湊が、いまや陽太と楽しげに過ごす小雪を思い出すだけで胸をかき乱されている。
この「モヤモヤ」は、彼がこれまでの人生で否定してきた「執着」そのものです。
正論という盾で自分の気持ちを隠しながらも、内側から溢れ出す焦燥感に、彼自身が一番戸惑っているはず。
冷静な分析官だった湊が、ついに「当事者」として恋の泥沼に足を踏み入れた瞬間を感じさせる、非常にスリリングな心理描写でした。
小雪の解放、図書室で見せた意外な「天然」の素顔
図書室という静かな空間が、小雪にとって「保健室よりも気軽な場所」になったことは、彼女の心が少しずつ外に向かって開き始めた証拠ですね。
これまで過酷な過去やトラウマに縛られ、常に周囲を警戒して生きてきた小雪。
しかし、霜島の前で見せた「意外に快適かも」という素直な反応や、図書委員の仕事を「不純な動機」で楽しもうとする姿には、彼女が本来持っていたであろう「マイペースでちょっと天然な可愛らしさ」が滲み出ていました。
霜島がそのギャップに驚き、自然と距離を縮めてしまったのも頷けます。
緊迫感のある恋愛模様の中で、この図書室でのひとときは、小雪が「一人の女子高生」としての自分を取り戻していく、とても穏やかで大切な「解放の場所」になっているのだと感じました。
夕暮れの肉まん、陽太が灯す小雪の凍えた心
コンビニの前で陽太に肉まんを奢ってもらうという、ありふれた高校生らしい一コマ。
しかし、重い過去を背負い、常に心を凍らせてきた小雪にとって、それは何物にも代えがたい「日常の暖かさ」を感じる瞬間だったはずです。
陽太の持つ、屈託のない明るさとさりげない優しさは、小雪がこれまでの人生で諦めてきた「平穏な幸せ」を象徴しているかのようです。
温かい肉まんを分け合う時間は、単なる空腹を満たすだけでなく、彼女が張り詰めていた緊張の糸を、陽太がその熱で優しく解きほぐしていくような、象徴的なシーンとして描かれていました。
しかし、この「良い雰囲気」が深まれば深まるほど、小雪の平穏を願うはずの湊の心は、逆に激しくかき乱されていく。
陽太の放つ「光」が、皮肉にも湊の「焦燥」という影を色濃く照らし出しており、この対照的な二人の間で揺れ動く小雪の今後がますます気になります。
以上、第31話「親情」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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