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「氷の城壁」第12話「からっぽ」のネタバレ感想考察

「氷の城壁」第12話「からっぽ」のネタバレ感想考察

今回は、「氷の城壁」第12話「からっぽ」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。

前話については、こちらの「氷の城壁」第11話「3人」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

目次

「氷の城壁」第12話「からっぽ」のあらすじネタバレ

夜の公園、ベンチに座る雨宮湊は、彼女から「別れたい」と切り出されます。

しかし、湊は動揺することなく、「なんでそう思うの?」「寂しくさせるようなことした?」と冷静に質問を繰り返すだけ。

その感情のなさに耐えかねた彼女は、「全部質問で返すのやめて。湊って本当に『自分』がないよね」と言い放ち、去っていきました。

湊にとって、彼女との別れも「大した用じゃない」出来事でしかありませんでした。

翌日の学校。失恋をネタにする男友達にはいつもの調子で応じながらも、湊は昨日目撃した「小雪とヨータ」の姿を思い出していました。

廊下でヨータと二人きりになった際、湊は探りを入れるように二人のことを尋ねます。

ヨータは「たまたま会っただけ」とあっさり答えますが、湊が「まぁそうだよな!だってお前……」と何かを言いかけたその時、保健室から小雪が現れます。

湊はすぐに「やっほ、怪我?」と身を乗り出して話しかけますが、小雪は露骨にぎょっとして身を引きます。

しかし、湊の後ろからひょこっと顔を出したヨータを見た瞬間、小雪の表情は「安心」へと一変。

湊を無視して「あ、ヨータ」と呼びかけ、二人は湊を挟んだまま親しげに話し始めます。

正面にいる自分の存在を一切無視し、ヨータとだけ自然に笑顔で手を振り合う小雪。

昨日まで「氷の城壁」のように頑なだったはずの彼女が、ヨータにだけ心を開いている。

その光景を目の当たりにした湊は、得体の知れない悶々とした感情を抱え、立ち尽くすのでした。

以上、第12話「からっぽ」のあらすじネタバレでした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

「氷の城壁」第12話「からっぽ」のネタバレ感想考察

第12話は、これまで「完璧な人気者」を演じてきた雨宮湊の、救いようのない「空っぽさ」が白日の下にさらされる衝撃的な回でした。

まず、湊と彼女の別れ話のシーンが圧巻でした。

彼女からの「信用できない」「自分がない」という言葉は、読者が湊に感じていた違和感を代弁するものでした。

別れを告げられても、悲しむのではなく「なぜそう思うの?」とデータ収集のような質問で返す。

相手に共感せず、常に「正解の反応」を計算して出力してきた彼の生き方の限界が見えた瞬間でした。

そんな「からっぽ」な湊と対照的に描かれたのが、小雪とヨータの純粋な絆です。 

保健室前で湊を挟んで繰り広げられた会話シーンは、湊にとって屈辱以外の何物でもなかったでしょう。

これまで「鍵師」として自分がどれだけ言葉を尽くしても開かなかった小雪の城壁が、自分のすぐ後ろにいるヨータに向かって、いとも容易く開かれている。

湊という存在がそこに「在る」のに、小雪の視界には入っていない。

この「透明人間扱い」は、常に中心人物として周囲をコントロールしてきた湊のプライドに、初めて深い傷をつけたのではないでしょうか。

また、湊がヨータに言いかけた「だってお前……」というセリフに、彼の本音が透けて見えます。 

「ヨータは恋愛対象にならないはず」「自分より劣るはず」といった、無意識の慢心が彼の中にあったのかもしれません。

しかし、現実にはヨータが小雪の「ヨータ!」という呼び捨ての笑顔を独占している。

自分の空虚さを突きつけられた湊が、この「計算外の事態」に直面してどう変化していくのか。

彼が抱える闇が、ただの嫌な奴で終わるのか、あるいは彼自身の成長への痛みとなるのか。非常に見応えのある、重要なターニングポイントとなったエピソードでした。

「自分がない」湊の圧倒的な孤独

雨宮湊という少年が抱える、救いようのない空虚さが浮き彫りになった回でした。

彼女から「自分がない」と指摘された際、ショックを受けるのではなく「なぜそう思うの?」とデータを確認するように質問を重ねる姿には、背筋が凍るような孤独を感じます。

彼は相手に合わせる「正解」の反応を常に計算していますが、

そこには自分の血が通った感情が一切存在しません。誰とでも仲良くできる人気者でありながら、実は誰の心にも触れておらず、自分自身の心さえ持て余している湊の姿は、あまりにも「からっぽ」で切実な絶望に見えました。

そんな湊にとって、保健室前での出来事は決定的な敗北だったはずです。

これまで自分が「攻略」すべき対象として見ていた小雪が、自分を完全に透明人間として扱い、その背後にいるヨータにだけ、見たこともないような安心しきった笑顔を向けた。

自分の完璧なプロデュースが通用しないばかりか、視界にすら入れてもらえない。

自分の存在意義を「他人の反応」に依存してきた湊にとって、小雪の徹底した無視は、自分が消えてしまうような恐怖に近い屈辱だったのではないでしょうか。

さらに、ヨータに対して言いかけた「だってお前……」という言葉。自分より不器用で単純だと思っていた親友が、自分の持っていない「本物の繋がり」を無自覚に手に入れている。

その事実に直面した湊の悶々とした表情は、彼が初めて味わう、計算不可能な「人間らしい嫉妬」の始まりのようにも見えました。

完璧な仮面の裏で、何もない自分を突きつけられた湊が、ここからどう歪み、あるいは変わっていくのか。彼の「からっぽ」な心が悲鳴を上げているような、痛烈なエピソードでした。

ミナトを「透明人間」にする二人の絆

保健室の前で繰り広げられたあの数分間は、雨宮湊という少年にとって、これまでの人生で築き上げてきた万能感が音を立てて崩れるような、残酷な時間だったと感じます。

湊はこれまで、常に輪の中心に立ち、周囲の反応を鮮やかにコントロールすることで自分の居場所を確保してきました。

小雪に対しても「壁があるからこそ攻略しがいがある」という、ある種のゲーム感覚で接していた節があります。

しかし、いざ小雪の前に立ったとき、彼女が向けたのは拒絶ですらない「無関心」でした。

湊がどれほど爽やかに、親しげに言葉を投げかけても、小雪の瞳は彼を通り越し、その背後にいるヨータだけを捉えていました。

湊を挟んで二人が会話を弾ませる光景は、あたかも湊がその場に存在しない「透明人間」になってしまったかのようです。

自分が一番の親友だと思っていたヨータと、自分が手に入れようとしていた小雪。

その二人が、自分の介在しない場所で、自分の知らない「呼び名」で笑い合っている。

この瞬間、湊は「自分がいなくても世界は楽しく回っている」という事実を、最も見たくない形で突きつけられました。

計算やテクニックでは決して辿り着けない、ヨータと小雪の間に流れる「安心感」という名の純粋な絆。

それに触れることすらできず、真ん中に立ち尽くすしかない湊の悶々とした姿は、彼が初めて味わう「持たざる者」としての孤独を浮き彫りにしていました。

中断されたセリフ「だってお前……」の謎

湊がヨータに言いかけた「だってお前……」という言葉。この後に続くはずだった言葉には、湊がこれまでヨータに対して抱いていた、ある種の「見下し」や「決めつけ」が凝縮されているようで、非常に深い謎を感じさせます。

湊にとってヨータは、裏表がなくお人好しで、自分のように器用に立ち回ることができない存在だったはずです。

だからこそ、小雪という難攻不落の「氷の城壁」が、自分を差し置いてヨータにだけ開かれていることが、湊には到底理解できない事態だったのでしょう。

このセリフの続きは、おそらく「だってお前、女子に興味ないだろ(あるいは、女子にモテるタイプじゃないだろ)」といった、ヨータの恋愛面での無害さを決めつけるものだったのかもしれません。

あるいは、「だってお前、あんな面倒なタイプ苦手だろ」といった、小雪を「攻略対象」としてしか見ていない湊らしい歪んだ予測だった可能性もあります。

しかし、現実に目にしたのは、湊の知らないところで育まれていた二人の圧倒的な信頼関係でした。

自分が「正解の鍵」を探して四苦八苦している間に、ヨータは無自覚なまま、ただ誠実であるだけで城壁の門を軽々と通り抜けてしまった。

「だってお前……(俺より優れているはずがないのに)」 

「だってお前……(恋愛に興味がないはずなのに)」

そんな湊の勝手な定義を、小雪の笑顔が無慈悲に粉砕した瞬間、このセリフは飲み込まれるしかありませんでした。

言いさされたこの言葉の続きにこそ、湊が目を背けてきた「自分自身の傲慢さ」と「ヨータへの無意識な劣等感」が隠されているようで、彼のプライドが大きく揺らぎ始めたことを予感させる、非常に鋭い演出でした。

以上、第12話「からっぽ」の感想考察でした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

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