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「氷の城壁」第56話「変色」のネタバレ感想考察

「氷の城壁」第56話「変色」のネタバレ感想考察

今回は、「氷の城壁」第56話「変色」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。

前話については、こちらの「氷の城壁」第55話「熱伝導」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

目次

「氷の城壁」第56話「変色」のあらすじネタバレ

今回の始まりは、深夜に自宅へと帰宅する小雪の母親から始まります。

夫と離婚してから女手ひとつで小雪のことを育てる母親は、深夜まで残業をしている様子と、シングルマザーで苦労している様子です。

でも小雪に変な心配を掛けたくないと、早く寝なさいと部屋に放り込んでいきます。

母親の大変さは解るも、自分の事で苦労しているのに何も出来ないと、寂しさを感じてしまう小雪。

そして早朝になれば、朝早くに起きて会議があると、朝ご飯も食べずに出かけてしまいます。

一人で朝食を食べていく小雪は、陽太が以前に自分に告げた言葉を思い出します。

「俺、いる?」

その言葉を思い出すと、自分も同じように母親と一緒に居て良いのかと考えます。

でも自分にとってこれが普通の生活なのだと、受け入れてしまう小雪。

彼女にとって孤独は心地の良い空間だと思っていました・・・

以上、第56話「変色」のあらすじネタバレでした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

「氷の城壁」第56話「変色」のネタバレ感想考察

第56話は、小雪が築いた「城壁」のもう一つのルーツが、家庭環境という切実な孤独にあることを描き出した、非常に静かで胸が締め付けられる回でした。

深夜まで働く母親の後ろ姿と、気を遣わせまいとする「早く寝なさい」という言葉。

それは母親なりの深い愛情ですが、多感な時期の小雪にとっては、自分の存在が母親の負担になっているのではないかという、消えない負い目を与えてしまっています。

朝食を一人で食べる食卓の静けさが、彼女の心の空虚さをそのまま映し出しているようで、読んでいて孤独が肌に刺さるようでした。

特に印象的なのは、陽太の「俺、いる?」という問いかけを、自分と母親の関係に重ね合わせてしまうシーンです。

必要とされたい、でも自分がいることで相手を疲れさせてしまうのではないか。

そんな葛藤の末に、孤独を「心地よい空間」だと思い込もうとする小雪の姿は、あまりに健気で、そして危ういものです。

彼女にとっての孤独は、決して望んだものではなく、愛する人を困らせないために選び取った「優しすぎる諦め」だったのだと感じました。

そんな彼女が、湊や陽太という「他者」を受け入れようとしている今の変化がいかに奇跡に近いことか、改めてその重みを噛み締めてしまうエピソードでした。

深夜の帰宅と隠された疲弊

母親が深夜に帰宅し、疲れ果てた姿を見せながらも「早く寝なさい」と突き放すように部屋へ促すシーン。

そこには、シングルマザーとして娘を守ろうとする必死さと、その必死さが生んでしまう皮肉な「距離感」が凝縮されていました。

母親が背負っている疲弊は、小雪に対する愛情そのものですが、感受性の強い小雪にとっては、それこそが自分を責める材料になってしまいます。

母親の疲れを察するからこそ、甘えることも、悩みを聞いてもらうこともできない。

「変な心配を掛けたくない」という母親の配慮が、結果として小雪に「自分は母親の自由や時間を奪っている存在だ」という無言の圧力を与えているのがあまりに切ないです。

部屋に放り込まれるようにして一人になった小雪が、暗がりの中で母親の労働と自分の存在を天秤にかけてしまう。

そんな夜の静寂が、彼女の「誰にも頼ってはいけない」という心の城壁をより強固なものにしてしまったのだと感じさせる、痛切な場面でした。

一人の食卓、反芻する問い

誰もいないダイニングテーブルで、静寂と共に朝食を摂る小雪の姿が、彼女の心に空いた穴を象徴しているようで胸が痛みます。

かつて陽太が自分に向けて放った「俺、いる?」という言葉。

その問いが、今の小雪にとっては「母親にとっての自分の存在意義」を問う残酷なリフレインとなって響いています。

陽太が感じていたかもしれない疎外感や「必要とされていないのではないか」という不安。

それを自分の家庭環境にスライドさせて考えてしまうほど、小雪は自分という存在を肯定できずにいます。

温もりのない食卓で、陽太の言葉を反芻しながら「自分もここにいていいのか」と自問自答するシーン。

それは、彼女が「自分は誰かの重荷になっている」という強迫観念に囚われていることを示しています。

孤独を「心地よい」と思い込もうとするのは、そうしなければ、誰かに必要とされない自分という現実に押し潰されてしまうから。

彼女の「普通」が、いかに細い糸の上で保たれているのかを突きつけられる、非常に孤独な描写でした。

孤独という名の優しい諦め

小雪にとっての「孤独」は、決して周囲を拒絶したいという攻撃的な意思ではなく、愛する母親への最大限の配慮から生まれた「優しい諦め」であるという点が、この物語の切なさを際立たせています。

「自分がいなければ、お母さんはもっと楽ができるのではないか」

「私が何かを望めば、それはお母さんの負担になってしまう」

そんな風に自分を「負債」のように感じてしまう思考回路が、彼女を一人きりの殻に閉じ込めてしまいました。

彼女が孤独を「心地よい」と表現したのは、そう定義することでしか、誰にも頼れない、甘えられないという現状を正当化できなかったからではないでしょうか。

他人に期待せず、最初から一人でいることを選べば、誰かを疲れさせることも、自分が拒絶されて傷つくこともありません。

その「優しい諦め」が彼女の城壁の正体であり、陽太や湊がその壁を越えようとするたびに、彼女の中に生まれるのは「嬉しさ」と同じくらいの「申し訳なさ」だったのだと感じます。

以上、第56話「変色」の感想考察でした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

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