今回は、「氷の城壁」第53話「回転」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第52話「中学」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第53話「回転」のあらすじネタバレ
前回の過去の回想から一転し、今回は美姫の驚きからスタートします。
確かに驚いてしまうのは無理はありません。
なにせ真夏の妹となると、また彼女と関わる事になってしまう可能性もあり得るので、出来れば秋音とは関わり合いたくないですよね。
でも彼女から声を掛けてきたことを考えれば、何かをしでかすのではと、気が気ではありません。
とりあえず美姫はSNSを使って秋音と真夏の事を調べて見ると、二人は仲よさげに写真に写っていました。
しかし妙な違和感を感じてしまいます。
そんな中で優希も加わり、秋音に関して尋ねますが、秋音は秋音で考えれば良いと、真夏とは関係ないと言ってくれますが、小雪はイマイチ割り切ることは出来ません。
はたして今後とも何事もなく過ごせるのでしょうか?
以上、第53話「回転」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第53話「回転」のネタバレ感想考察
第53話は、不穏な過去の全貌が見えた直後だからこそ、平穏を脅かす「新たな火種」に対して、キャラクターそれぞれの向き合い方の違いが鮮明に描かれた回でした。
まず、美姫の動揺には非常に共感させられます。
真夏の妹・秋音の登場は、ようやく平穏を取り戻した小雪の日常に、再びあの地獄のような日々が入り込む予兆に他なりません。
「関わりたくない」という本音と、小雪を守りたいという使命感に突き動かされ、SNSで二人の関係を調べる美姫の必死な姿に、彼女が今もなお過去の事件に責任を感じ続けていることが痛いほど伝わってきました。
仲睦まじい姉妹の写真を見て美姫が感じた「妙な違和感」は、読者にとっても不気味な予兆として胸にざわつきを残します。
一方で、優希の「秋音は秋音で考えればいい」という非常にドライで合理的な考え方は、この沈滞した空気に新しい風を吹き込むものでした。
血縁と個性を切り離して考える彼の言葉は、本来なら救いになるはずの正論です。
しかし、真夏から直接的な害を被り、城壁を築くことでしか自分を守れなかった小雪にとって、その「割り切り」がどれほど困難なことかも同時に描かれており、正論だけでは救えない心の傷の深さが改めて浮き彫りになっていました。
秋音の目的がまだ見えない中で、SNSの違和感や周囲の温度差がじわじわと小雪を追い詰めていくような感覚。
何事もなく過ごしたいという願いとは裏腹に、運命が再び動き出そうとしている緊張感に満ちたエピソードでした。
脅かされる平穏の火種
体育祭という明るい舞台の裏で、小雪の平穏を焼き尽くそうとする「火種」がじわじわと熱を持ち始めているのを感じます。
かつてのトラウマを象徴する真夏という存在。
その血を分けた妹・秋音が現れたことは、小雪にとって単なる偶然とは思えないほどの恐怖でしょう。
せっかく湊や月子と作り上げてきた「誰かと笑い合える日常」が、この小さな火種一つで一気に崩れ去ってしまうのではないか。そんな予感が、物語全体にヒリヒリとした緊張感を与えています。
今はまだ「挨拶をされた」だけの段階ですが、その存在自体が小雪の心の城壁を揺らし、周囲の友人たちをも巻き込む大きな炎に変わる直前の、嵐の前の静けさのような不気味さが際立っていました。
SNSに残された違和感
美姫が画面越しに感じ取った「仲の良すぎる姉妹」の姿。
それは、真夏の攻撃性を知る者からすれば、あまりにも現実味を欠いた不自然な光景でした。
SNSという切り取られた世界では、いくらでも「理想の姉妹」を演じることができます。
しかし、かつて小雪の善意を執拗に踏みにじった真夏が、妹とだけは良好な関係を築いているという事実に、美姫は直感的な危うさを覚えたのでしょう。
その仲睦まじさは、純粋な愛情ゆえのものなのか、それとも秋音が姉に心酔しきっているがゆえの歪な依存なのか。
微笑む二人の写真の裏側に、何か「見せてはいけないもの」が隠されているのではないかという疑念。
この違和感こそが、秋音が単なる「似ているだけの妹」ではないことを示唆しており、小雪たちの日常に静かに、しかし確実に毒を回していくような不気味さを強調していました。
正論と割り切れない心
優希の「秋音は秋音で考えればいい」という言葉は、本来なら小雪を過去の呪縛から解き放つための、最も健康的で正しい救いのはずでした。
しかし、その正論が今の小雪にとっては、かえって自分の弱さを浮き彫りにする刃のように響いてしまうのが切ないところです。
理屈では、妹に罪がないことも、姉と妹は別人であることも十分に分かっています。
それでも、秋音の顔を見るたびに中学時代のあの冷たい空気や、周囲の嘲笑、そして割れたガラスの音が脳裏をよぎってしまう。
一度深く傷つき、他人を拒絶することでしか自分を守れなかった小雪にとって、「割り切る」という行為は、自分が築いてきた城壁を自ら壊すに等しい、あまりにも無防備で恐ろしいことなのです。
優希のような明るい強さを持てない自分への自己嫌悪と、どうしても消し去れない恐怖。正論だけでは埋められない、感情の深い溝が描き出された回でした。
以上、第53話「回転」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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