今回は、「氷の城壁」第37話「空回り」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第36話「矢印(2)」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第37話「空回り」のあらすじネタバレ
美姫は中学生時代から思った事は素直に言う性格でした。
はっきりと白黒を付ける、実に男前な性格をしていたイケメンな彼女ですが、それだけに幾人かのヘイトも受けていたようです。
常に真正面から堂々と言う性格のせいで、怖くて苦手と、美姫を苦手にしている女子もいたみたいですね。
そんな彼女にとって小雪は心許せる数少ない友達でした。
しかし小雪の両親が離婚したと知らず、無神経なことを言ってしまったと、また陰湿なイジメをする部活メンバーに怒りを覚え、感情的になってしまい、結果的に小雪に迷惑を掛けてしまうなど。
自分はいつも空回ってばかりだと痛感してしまった美姫は、高校進学を機に
「余計なことを喋らない」
「騒がない」
「叫ばない」
「暴れない」
イメチェンを図ろうとしていました。
おかげで周りと上手く過ごせていると実感は出来るも、ただ自分を偽って合わせているだけだと、浮いている自分に違和感を覚えていました。
自分を偽らずに、素直に生きる事は罪なのでしょうか?
以上、第37話「空回り」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第37話「空回り」のネタバレ感想考察
美姫の「男前で真っ直ぐな性格」は、読者から見れば大きな魅力ですが、多感な中学時代において、それが時に周囲との摩擦を生み、彼女自身を傷つける刃になっていたのですね。
小雪を守りたいという純粋な正義感ですら、「余計なこと」「空回り」と自分を責める材料になってしまった彼女の過去を思うと、胸が締め付けられます。
大切な親友を傷つけたくないという一心で決めた「4つの禁止事項」。
それを守ることで手に入れた「上手くいっている日常」が、実は自分自身を消し去ることで成り立つ砂上の楼閣だったという事実は、あまりに皮肉です。
「自分を偽らずに、素直に生きる事は罪なのか」という彼女の問いは、現代の誰もが抱える普遍的な悩みでもあります。
周りに合わせれば孤独ではないけれど、本当の自分はどこにもいない。そんな「透明な孤独」の中にいたからこそ、彼女もまた、陽太や小雪と同じように、パズルの欠けた1ピースだったのだと感じました。
自分を偽って笑う今の美姫と、そんな彼女の「本当の姿」に恋をして、変わらぬ想いを抱き続ける陽太。
この二人の想いが重なる日は来るのか、美姫が「イメチェン」という呪縛から解き放たれる瞬間を願わずにはいられません。
封印された「本当の美姫」
美姫が掲げた「余計なことを喋らない」「暴れない」といった禁止事項は、彼女がかつてどれほど自分の素直さで傷つき、周囲を傷つけることを恐れてきたかの裏返しであり、非常に胸が痛みました。
本来の彼女は、白黒はっきりさせる「男前」でエネルギッシュな性格。
しかし、その輝きが強すぎたために、中学時代は無理解やヘイトにさらされ、大切な小雪に対しても「良かれと思ってしたこと」が空回ってしまう。
そんな過去の失敗を悔いるあまり、彼女は自分自身の魂に蓋をして、周囲に馴染むための「無難な自分」を演じる道を選んでしまったのですね。
今の美姫が感じている「周りと上手くいっている」という実感は、成功体験ではなく、自分を殺し続けていることへの諦めに近いのかもしれません。
そんな「封印された本当の彼女」を誰よりも肯定し、その眩しさに恋をしたのが陽太であるという皮肉な構造が、今後の展開をより切なく、そして希望を感じさせるものにしています。
小雪を守れなかった後悔
美姫が「自分を殺す」という極端な決断に至った背景には、単なる自己嫌悪だけでなく、親友である小雪に対する深すぎる愛情と後悔があったのですね。
小雪の家庭の事情を知らずに踏み込んでしまったこと、そして小雪をいじめる連中に怒りをぶつけた結果、かえって事態を大きくして小雪に迷惑をかけてしまったこと。
美姫にとって、自分の「正しさ」や「強さ」が、最も守りたかったはずの小雪を救うどころか追い詰めてしまった事実は、何よりも耐え難い失敗だったのでしょう。
「自分の正義感は、人を傷つける毒になる」
そう思い込んでしまったからこそ、彼女は「叫ばない」「暴れない」と自分を縛り、鋭い爪を隠すようにして生きてきました。
しかし、本来の美姫の魅力は、その真っ直ぐで熱い魂にこそあります。小雪を想うがゆえに自分を封印してしまった美姫の優しさは、あまりにも不器用で、孤独です。
偽りの平穏と募る違和感
自分を押し殺して手に入れた「上手くいっている日常」が、美姫にとってどれほど空虚なものかが痛いほど伝わる回でした。
「余計なことを言わない」と決めて周囲に合わせることで、確かに波風は立たなくなりました。
しかし、それは彼女にとって「自分の居場所」ではなく、単なる「避難所」に過ぎません。
周りと上手く過ごせば過ごすほど、本当の自分がどこにもいないという孤立感が強まり、浮いている自分に違和感を覚えてしまう。
その「偽りの平穏」は、美姫の魂を少しずつ削っているように見えます。
素直に生きることが「空回り」や「迷惑」に繋がってしまうと怯える彼女。
しかし、そんな彼女が必死に隠している「本来の熱量」こそが、陽太を救い、小雪が憧れた彼女の本当の姿だったはずです。
この違和感が限界に達したとき、彼女が再び自分自身を解放できるのか、そのきっかけが誰になるのかが今後の鍵になりそうです。
以上、第37話「空回り」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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