今回は、「氷の城壁」第25話「嗚咽」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第24話「相容れない」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第25話「嗚咽」のあらすじネタバレ
第25話「嗚咽」では小雪が自分の弱さと向き合う事となる内容で進んでいきました。
五十嵐の件で湊に酷い事を言ってしまったと、彼に向き合って謝りたいと願う彼女は、今までのように視線を逸らすことなく、湊を見据えて自分の気持ちを語っていきます!
湊は五十嵐じゃないと、過去のトラウマを払拭しようとする小雪は、自分の掛けた呪いで他人に嫌な思いをさせたくないと思いながら、湊に向き合い、言葉を紡ごうとしますが、思うように喋る事が出来ません。
自己嫌悪な言葉が脳裏に浮かぶ中、そんな自分に嫌気がさしてしまう小雪は涙が流れてしまいそうになりますが、そんな彼女の事を気遣い、湊はそんなに謝らなくて良いと言います。
優しい言葉に、申し訳なさで張り詰めていた小雪の心は、緊張の限界を迎えてしまったのか、涙をボロボロと零してしまいます。
しかも運が悪いことに誰かが近づいて来てもしまいます。
こんな場面を見られれば、誤解を招いてしまうと、スマホを見せて、その場をやり過ごします。
そして偶然にホーム画面に表示されていた、湊の飼い犬を見て、可愛いと微笑んでしまう小雪。
その後何事もなく、帰路につく湊ですが、小雪の笑顔に照れてしまいます・・・
以上、第25話「嗚咽」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第25話「嗚咽」のネタバレ感想考察
今回のハイライトは、何と言っても小雪が湊から視線を逸らさず、真っ直ぐに自分自身の心と向き合った姿勢です。
これまでの彼女にとって、視線を合わせることは恐怖でしかありませんでした。
しかし、「湊は五十嵐ではない」と自分に言い聞かせ、過去のトラウマを乗り越えようとするその姿には、弱さを抱えながらも前を向こうとする、気高く強い意志を感じました。
しかし、意志とは裏腹に、言葉が思うように紡げず、自己嫌悪の渦に飲み込まれそうになる描写は、彼女が背負ってきた傷の深さを物語っています。
そんな限界まで張り詰めた彼女の糸を解いたのが、湊の「そんなに謝らなくて良い」という、飾らない優しさだったことに救いを感じます。
赦しを求めていた小雪にとって、その一言は、積み重なった心の重荷を一気に崩してしまうほどの破壊力(そして救済)を持っていたのでしょう。
あふれ出した涙は、単なる悲しみではなく、ようやく「理解された」という安堵と、緊張からの解放が混ざり合った、心の洗浄のような「嗚咽」だったのだと感じます。
また、湊の機転で窮地を脱するシーンも、二人の距離が再び近づいたことを象徴していましたね。
スマホに映る飼い犬を見てこぼした小雪の微笑みは、第24話までの「相容れない」冷え切った空気からは想像もできないほど、柔らかで温かなものでした。
その無防備な笑顔に照れてしまう湊の反応も、彼が再び小雪という存在に強く惹かれ、彼女の心の深淵に触れたことで、より深い愛情が芽生え始めていることを予感させます。
解かれた呪い、真っ直ぐに見据えた「今」
小雪がこれまで自分自身にかけてきた「他人を拒絶し、透明でいなければならない」という呪い。
それを解こうと、逃げ出したい衝動を抑えて湊の瞳を真っ直ぐに見据えた彼女の姿に、胸が熱くなりました。
過去のトラウマである五十嵐の影を振り払い、「目の前にいる湊」という個人を信じようとする行為は、彼女にとって命がけの跳躍にも似た勇気だったはずです。
視線を逸らさずに自分の気持ちを語ろうとするその姿勢は、もはや怯えるだけの被害者ではなく、自分の人生の手綱を握り直そうとする一人の女性としての強さを感じさせました。
言葉が上手く出ず、自己嫌悪に陥りながらも、それでも対話することを諦めなかった。
その「今」に懸ける懸命な姿があったからこそ、湊の優しさも彼女の心の奥深くまで届いたのでしょう。
過去の闇に縛られていた彼女が、ようやく現在(いま)という光の中に踏み出した、再生の象徴となる素晴らしい場面でした。
溢れ出した涙と、湊が差し出した許しの言葉
謝罪の言葉を紡ごうとするほどに、自分の不器用さに絶望し、心に余裕がなくなっていく小雪。
そんな彼女を救ったのは、理屈や説教ではなく、湊が差し出した「そんなに謝らなくていい」という、短くも絶対的な肯定の言葉でした。
その一言が触れた瞬間、小雪の心の中で限界まで張り詰めていた糸が、ぷつりと切れた音がしたようでした。
それは、自分が犯した「拒絶」という過ちを許された瞬間であると同時に、「もう一人で戦わなくていい」と告げられた瞬間でもあったはずです。
堰を切ったように溢れ出した涙は、これまで誰にも見せることができなかった彼女の、本当の素顔だったのではないでしょうか。
醜い言葉や過去の呪縛に支配されていた心が、湊の許しによって浄化されていくような、そんな尊い「嗚咽」でした。
言葉にならない感情を涙として流し尽くしたことで、小雪は長年自分を縛り付けていた孤独から、ようやく解き放たれたのだと感じます。
涙のあとの微笑み、スマホ越しに縮まる距離
涙の嗚咽という大きな嵐が過ぎ去ったあとの、澄み渡るような穏やかさが印象的な場面でした。
誤解を避けるために咄嗟に差し出されたスマホという現代的なアイテムが、期せずして二人の心を繋ぐ小さな窓となりました。
画面に映る湊の飼い犬の姿に、小雪がふと見せた微笑み。それは、これまで自分を守るために必死に武装していた彼女が、初めて湊の前で鎧を脱ぎ、見せた「素顔」の欠片でした。
その一点の曇りもない笑顔は、これまで湊がどんなに言葉を尽くしても届かなかった距離を一瞬で飛び越え、彼の心をも照らしました。
小雪の微笑みに照れてしまう湊の反応は、二人の関係が「助ける側と助けられる側」という一方的なものではなく、互いに心を通わせ、対等に惹かれ合う存在になったことを物語っています。
大きな衝突を乗り越えたからこそ、何気ない日常の会話や、スマホ越しに共有した小さな「可愛い」という感情が、何物にも代えがたい絆へと変わっていく。
冷え切っていた二人の間に、ようやく本当の春が訪れたような、優しく希望に満ちたラストシーンでした。
以上、第25話「嗚咽」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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