今回は、「氷の城壁」第23話「苦渋」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第22話「踏み込み」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第23話「苦渋」のあらすじネタバレ
今回の第23話は小雪の中学時代からスタートしましたが、何とも後半はあまりにも情緒を抉る内容でしたね・・・
小雪が中学でバスケ部に入ったきっかけは、先輩の勧誘が始まりだったみたいです。
最初はバスケ部での日々をそれなりに楽しんでした小雪でしたが、先輩に信頼されていた事を不快に思った同学年の子の反感を買い、結果としてイジメに発展してしまったようです。
なんともどうしようもない・・・辛い過去ですね。
自分はただ一生懸命やっていただけなのに、それが気に食わないと、くだらない理由でイジメの標的にされてしまうのは、なんともしがたい事です。
陽太はそんな小雪の状況を美姫から聞いていたと語ります。
「友達が悩んでいたことに気づけなかった」
と、小雪をすぐに助けられなかった事を後悔し、またなんで自分に相談してくれなかったのかと泣きながら相談していた美姫の過去を語ってくれる陽太に、美姫がそこまで自分を想ってくれていた事に、自分の境遇を相談できなかった事を悔いてしまいます。
頼りなかったと、信用していないのではなく、ただ自分が周囲と距離を置いていただけなのにと、美姫の辛さを申し訳なく思う小雪。
しかも自分の勘違いで湊に酷い事を言ってしまったと、謝りに行きたい言う小雪の言葉に、湊は気にしていないと言いますが、どうしても謝りたい小雪は、はたして湊に謝れるのでしょうか?
以上、第23話「苦渋」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第23話「苦渋」のネタバレ感想考察
小雪が中学時代に味わった地獄の入り口が、純粋な「一生懸命さ」だったという事実に、やりきれない憤りを感じます。
ただ真面目に部活に取り組み、先輩に信頼されていたという、本来なら美徳とされるべきことが、同級生の幼稚な嫉妬や反感を買い、イジメという暴力にすり替わってしまう。
この「どうしようもなさ」こそが、彼女がその後「目立たないこと」「透明であること」を生存戦略に選ばざるを得なかった、最も残酷な理由なのだと突きつけられました。
そんな重い過去を背景に、今回特に心を打たれたのは、陽太の口から語られた美姫の姿です。
「友達の異変に気づけなかった」と泣き崩れ、自分を責め続けていた美姫。
小雪が周囲を信じられず、一人で壁を作っていたその裏側で、美姫もまた、救いの手を差し伸べられない無力感という地獄の中にいたのです。
小雪が自分の境遇を相談できなかったのは、美姫を信頼していなかったからではなく、ただ彼女をこれ以上巻き込みたくなかった、あるいは傷つけたくなかったという不器用な優しさだったのでしょう。
しかし、その「配慮としての距離」が結果として親友を苦しませていたと知り、小雪が抱いた激しい後悔の念は、計り知れないほど重いものでした。
そして、自分の過ちに気づき、湊に対して真っ直ぐに「謝りたい」と言えるようになった小雪の変化には、一筋の希望が見えました。
これまでは何かあればすぐに殻に閉じこもり、関係を断つことで自分を守ってきた彼女が、今度は「自分の足で歩み寄り、対話する」ことを選ぼうとしています。
湊は「気にしていない」と言ってくれるかもしれませんが、小雪にとっては、彼に謝罪を伝えることは、自分を縛り付けてきた過去の防衛本能を打ち破るための、大きな一歩になるはずです。
「一生懸命」が仇となった、中学時代の残酷な真実
小雪が中学時代にバスケ部で経験した出来事は、あまりにも理不尽で、読む者の心を深く抉ります。彼女はただ、バスケが好きで、期待に応えたくて、一生懸命に努力を重ねていただけでした。その純粋な熱意が先輩からの信頼を勝ち取ったというのに、それが同級生たちの目には「生意気」や「鼻につく」と映り、イジメの標的にされてしまう。
本来、称賛されるべき「一生懸命さ」が、逆に自分を傷つけるための刃に変わってしまうという残酷な反転。この経験こそが、その後の彼女から輝きを奪い、「目立ってはいけない」「他人の感情を逆なでしてはいけない」という、過剰なまでの自衛意識を植え付けてしまったのでしょう。
真面目に生きている人間が、その真面目さゆえに居場所を追われる。そんな救いのない現実を突きつけられると、彼女がその後「透明な存在」を志したことが、どれほど切実な生き残るための知恵だったのかが痛いほど伝わってきます。正しさが通じない集団心理の恐ろしさと、それによって歪められてしまった小雪の少女時代を想うと、ただただ胸が締め付けられるような思いです。
親友の涙と後悔を知り、小雪が向き合う「優しさのすれ違い」
陽太の口から明かされた「美姫の後悔」は、小雪が一人で抱え込んできた孤独の定義を根底から覆すものでした。
小雪が中学時代に周囲と距離を置いたのは、決して美姫を信じていなかったからではなく、むしろ彼女を自分の地獄に巻き込みたくないという、あまりに不器用で真っ直ぐな「優しさ」ゆえの決断でした。
しかし、その優しさが結果として、美姫に「親友なのに頼ってもらえなかった」「異変に気づけなかった」という深い自責の念を植え付け、何年も彼女を泣かせていた。
自分が壁を作ることで守りたかったはずの親友を、実はその壁そのものが最も傷つけていたという皮肉な真実に、小雪が抱いた衝撃は計り知れません。
お互いを大切に想うがゆえに生じてしまった、この悲しい「優しさのすれ違い」。
美姫が自分を想って流してくれた涙の意味を知り、小雪は初めて、自分が築いてきた「不干渉の壁」が他者との絆さえも歪めていたことを自覚しました。
自分の境遇を打ち明けられなかったことを悔いる小雪の姿は、彼女がようやく「自分ひとりで耐えること」の限界を悟り、本当の意味で他者と心を繋ぎ直そうとする、再生への序曲のように感じられました。
自己防衛の壁を越えて、湊へ歩み寄ろうとする小雪の決意
湊に対してぶつけてしまった「なんで人の事を探ったりするの」という言葉。
それは小雪がこれまでの人生で、自分を守るために反射的に張り巡らせてきた「拒絶の壁」そのものでした。
しかし、美姫の真実を知り、自分の殻が周囲をも傷つけていたことに気づいた彼女は、もうその壁の陰に隠れ続けることを良しとしませんでした。
自分の勘違いで湊を拒絶し、彼の善意を汚してしまったという自覚。
そして、それに対して「どうしても謝りたい」と願う心。これまでの小雪であれば、気まずさからそのまま距離を置き、自然消滅を待つことで自分を守っていたかもしれません。
しかし、今の彼女は、自分の非を認め、自らの足で湊のもとへ歩み寄ろうとしています。
湊が「気にしていない」と言ってくれることは、彼女も分かっていたはずです。
それでもなお、言葉にして伝えなければならないと決意したのは、彼との関係を「過去のトラウマ」の延長線上ではなく、「今、ここにある大切なもの」として守りたいという強い意志の表れでしょう。
自己防衛という名の安全地帯を捨て、剥き出しの心で他者と向き合おうとする小雪の姿には、脆さと同時に、これまでにはなかった力強い「勇気」が宿っています。
この一歩が、彼女を縛り続けてきた過去の呪縛を解き、湊との間に新しい、本当の意味での信頼関係を築くための鍵になるのだと確信させてくれる、希望に満ちた決意の瞬間でした。
以上、第23話「苦渋」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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