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「氷の城壁」第22話「踏み込み」のネタバレ感想考察

「氷の城壁」第22話「踏み込み」のネタバレ感想考察

今回は、「氷の城壁」第22話「踏み込み」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。

前話については、こちらの「氷の城壁」第21話「干渉」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

目次

「氷の城壁」第22話「踏み込み」のあらすじネタバレ

第21話開始直後から美姫の叫びが響いてしまいます。

五十嵐が学校に来ていたと小雪の事を心配する美姫でしたが、当の小雪は湊から五十嵐が来ると聞いていたからと、平静を装っていました。

美姫は湊のデリカシーの無さに嘆いており、小雪の情緒が乱れていないかと心配しているようですが、終始小雪の心は冷静でした。

それは五十嵐が自分に興味なんて無いと感じていたからです。

軋轢があるとは言え元カレ。

どこか寂しそうな小雪は気持ちの晴れないまま翌日を迎えましたが、湊に五十嵐のことを尋ねられてしまいます。

五十嵐のことを尋ねられ、思い出すのはいつも輪の中心にいたこと。

そして常に自信に満ちており、否定される事もないと、次第に黒い気持ちを抱き始めてしまう小雪は、ズケズケと人の心に踏み込んでくると、五十嵐対してのネガティブなことを考えてしまいます。

しかしそんな彼女の心中を察したのか、すぐに五十嵐の話題を止めようと言ってきます。

そんな湊の行為になんで中学の話をしてくるんだろうと湊の行動に不安を感じ、もしかして五十嵐に何かを聞いたのかと考えてしまいます。

不安を抱く小雪はなんで人の事を探ったりするのと、湊に尋ねてしまいます。

触れて欲しくないと壁を作る小雪の拒絶は湊も拒絶してしまうのでしょうか?

以上、第22話「踏み込み」のあらすじネタバレでした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

「氷の城壁」第22話「踏み込み」のネタバレ感想考察

美姫が絶叫するほど取り乱し、小雪を心配する一方で、当の小雪がどこか冷静でいられたのは、彼女の中に「五十嵐は自分に興味などない」という確信に近い諦めがあったからでしょう。

かつて自分を深く傷つけた相手にとって、自分はもう記憶の片隅にもいない存在。

そう割り切ることでしか心を保てない切なさと、元カレという言葉に滲む微かな寂しさが混ざり合い、小雪の拭えない孤独をより際立たせていました。

五十嵐を思い出すとき、小雪の脳裏をよぎるのは「否定されない側」の傲慢さでした。

常に輪の中心に立ち、他人の心に土足で踏み込んできても許される光の側の人間。

その象徴である五十嵐へのネガティブな感情が、今の自分を侵食していく過程が非常にリアルです。

普段は穏やかな小雪が、彼に対して「ズケズケと踏み込んでくる」という怒りにも似た強い嫌悪を抱くのは、彼女がこれまでどれだけ一方的な「干渉」に耐え、自分を押し殺してきたかの裏返しでもあります。

湊が話題を逸らそうとした咄嗟の配慮すら、今の小雪にとっては「五十嵐から何かを聞いたからではないか」という疑念の材料にしかなりません。

誰かに何かを聞かれること、探られることそのものが恐怖である彼女にとって、湊の無邪気な関わりはもう無視できない脅威に変わってしまいました。 

「なんで人の事を探ったりするの」という言葉は、小雪が必死に守ってきた城壁の奥から放たれた、悲痛な叫びです。

彼女のこの鋭い拒絶が、真っ直ぐに向き合おうとしていた湊の心をどれほど戸惑わせ、二人の間にどれほど深い溝を作ってしまうのか。

互いの優しさやすれ違いが、かえって事態を悪化させていく展開に、読み手としても胃が痛くなるような感覚を覚えます。

冷静なふりに隠れた、小雪の諦めと孤独

美姫がパニックになるほど取り乱して心配している傍らで、小雪がどこか冷めたように平静を装っている姿は、一見落ち着いているようでいて、その実態はあまりに痛々しいものでした。

彼女が「五十嵐は自分に興味なんてない」と言い切れるのは、彼を信頼しているからではなく、「自分など、彼のような光の中心にいる人間の記憶に残る価値すらない」と、自分自身を徹底的に突き放すことでしか心の均衡を保てないからです。

かつては「元カレ」と呼ばれるほど近い距離にいたはずの相手に対して、ここまで卑屈な諦めを抱かなければならない。

その事実の裏には、どれほど冷遇され、一人の人間として尊重されなかった過去があったのかと、彼女が一人で抱えてきた孤独の深さに胸が締め付けられます。

周囲が騒げば騒ぐほど、小雪の心は凪のように静まり返っていきますが、それは穏やかな平穏ではなく、外界との繋がりを遮断した「拒絶の静寂」です。

その静けさの中で、独りぼっちで過去の亡霊と向き合い続ける彼女の孤独は、美姫の叫び声すら届かないほど深い闇に沈んでいるように見えました。

自分を「消えてしまいたい存在」と定義してしまった彼女にとって、誰かに思い出されることすらもはや苦痛でしかないのかもしれない、そんな絶望的な諦めが伝わってくるシーンでした。

五十嵐への嫌悪、光の側へのどす黒い反感

五十嵐という存在を思い出すとき、小雪の心に沸き上がるのは、単なる「苦手意識」を通り越した、どろりとした暗い嫌悪感でした。

彼は常にクラスやチームの輪の中心にいて、周囲の称賛を浴び、自分の言葉が否定されることなど想像すらしない。

そんな「光の側」に君臨する人間の無自覚な強さが、小雪にとっては凶器そのものだったのです。

自分がどれほど傷つき、噂に晒され、透明になりたいと願っても、五十嵐のような人間はズケズケと人の心に土足で踏み込んできます。彼らにとっての「交流」は、小雪にとっては「侵略」でしかありません。

小雪が抱き始めた「黒い気持ち」は、彼が自分を支配し、翻弄してもなお、何食わぬ顔で自信に満ち溢れていることへの、行き場のない怒りの表れではないでしょうか。

「光」が強ければ強いほど、その影に追いやられた者の痛みは深く、暗くなります。

否定される恐怖を知らない五十嵐の傲慢さと、それに対して抱く小雪のどす黒い反感は、これまで彼女が押し殺してきた「自己」がようやく上げた悲鳴のようにも聞こえます。

自分とは決定的に相容れない、そして自分の静寂を壊す可能性を持つ者への烈烈たる拒絶反応が、彼女の冷静な仮面を内側から焼き切ろうとしている、その危うさが非常に印象的な場面でした。

湊への不信感と、剥き出しになった拒絶の壁

湊が注いでくれる温かな関心は、本来なら小雪にとって救いになるはずのものでした。

しかし、今の彼女にとっては、その「善意」こそが最も警戒すべき「干渉」へと変貌してしまっています。

話題を逸らそうとした湊の配慮すらも、「五十嵐から何かを聞いて、私に同情しているのではないか」「裏で私の過去を探っているのではないか」という疑念を加速させる燃料にしかなりません。

誰かに何かを聞かれること、自分の領域に踏み込まれることそのものが恐怖である小雪にとって、湊の無邪気なアプローチは、かつて自分を地獄に突き落とした「噂好きの群れ」と同じ色に見えてしまったのでしょう。

「なんで人の事を探ったりするの」という言葉は、震える手で武器を構えるような、小雪の精一杯の防衛本能でした。

これまで少しずつ積み上げてきた二人への信頼さえも、過去のトラウマという巨大な影が一瞬で飲み込んでいく。

湊がどれほど誠実であろうとしても、小雪が張り巡らせた「拒絶の壁」はあまりに高く、鋭い棘で覆われています。

触れようとすればするほど互いに傷つくことが分かっていても、問いかけずにはいられなかった小雪の不信感と、剥き出しになった拒絶。

その痛々しい対峙は、二人の関係が最も脆く崩れやすい局面にあることを示唆しており、見ていて胸が締め付けられるほどに苦しい場面でした。

以上、第22話「踏み込み」の感想考察でした。

次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

まとめ記事

>>「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察

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