今回は、「氷の城壁」第20話「不可侵」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第19話「わだかまり」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第20話「不可侵」のあらすじネタバレ
テスト期間中、美姫の誤送信がきっかけで、小雪、美姫、ヨータ、湊の4人でファミレスへ行くことになります。
前日の自販機前での出来事から、美姫と湊の仲を怪しむ小雪でしたが、二人が普段通りに接しているのを見て、ひとまず安堵します。
ファミレスでは、会話の輪に入りきれない小雪を気遣い、湊が積極的に話しかけます。
しかし、中学時代に「空気が読めない」と否定されたトラウマを持つ小雪は、自分の内面を知られて嫌われることを恐れ、無難でそっけない返答を繰り返してしまいます。
質問を重ねる湊に対し、美姫は「同情の目を向けるな」と言わんばかりに鋭い視線を送り、場には微妙な緊張感が漂います。
小雪は、他人との距離を保つことで自分自身を守ろうとする「不可侵」の領域を改めて意識するのでした。
一方、テスト最終日の校内には、練習試合のために他校のサッカー部が訪れていました。
その中には、小雪の中学時代の因縁の相手・五十嵐の姿が。かつての知人がいる可能性を仲間に問われた五十嵐は、「いねーだろ、こんな遠い学校」と吐き捨てます。
小雪がひた隠しにしてきた過去の影が、すぐそこまで迫っていました。
以上、第20話「不可侵」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第20話「不可侵」のネタバレ感想考察
今回のエピソードは、タイトルの「不可侵」という言葉が示す通り、小雪が築き上げてきた心の城壁の硬さと、それを脅かす不穏な影が対照的に描かれた回でした。
まず印象的だったのは、ファミレスでの小雪の心の防衛反応です。
湊からの何気ない質問攻めに対し、「読書が好き」「映画を観ている」という本当の自分を隠し、あえて「特には何も…」と中身のない返答を選ぶシーン。
これは彼女が冷たいからではなく、自分の内側を見せることで「拒絶される恐怖」や「これ以上自分を嫌いになりたくない」という切実な願いからくるものでした。
湊の「善意の深追い」が、今の小雪にとっては最も踏み込まれたくない領域を突いてしまうという、コミュニケーションのすれ違いが非常に苦しかったです。
また、そんな湊を「哀れみの目で見るな」と睨みつける美姫の存在も心強かったですね。
前回の和解を経て、美姫は湊の「同情」という毒を誰よりも理解しています。
小雪の「不可侵」な領域を守ろうとする彼女の守護者としての姿勢が、ファミレスのコミカルな空気の裏にしっかりと流れていました。
しかし、ラストシーンで全ての平穏が吹き飛ぶような衝撃が走りました。
五十嵐の登場です。
小雪がわざわざ遠くの高校を選んでまで逃げたはずの過去が、向こうから歩いてくる絶望感。
「しらねー、いねーだろ」という彼のぶっきらぼうな一言には、彼にとって小雪の存在がいかに「なかったこと」にされているか、あるいは「思い出したくないもの」なのかが凝縮されていて、ゾクりとしました。
せっかく4人でご飯を食べに行けるほど今の日常が温かくなり始めた矢先、小雪が最も恐れていた「過去の侵食」が始まろうとしている……
読んでいて胃が痛くなるような、けれど目が離せない、まさに「嵐の予感」に満ちた20話でした。
小雪の「不可侵」という切実な生存戦略
湊の「良かれと思って」の質問攻めは、今の小雪には一番しんどいですよね。
「特には何も…」という小雪の嘘は、相手への拒絶というより、自分自身を守るためのギリギリの防衛線でした。
本当は読書や映画が好きだけど、それを話して「ふーん」で終わり、変な奴だと思われたりするのが怖い。
もし自分を開示して否定されたら、ただでさえ低い自己肯定感がゼロになってしまう。
だからこそ、「自分をこれ以上嫌いにならないために」、あえてつまらない人間を演じて関心を逸らそうとする。
この「不可侵」という戦略は、中学時代に「空気読めない」と切り捨てられた傷がいかに深いかを物語っています。
湊の強い光が、隠しておきたい彼女の傷を照らし出してしまう残酷なすれ違いが、読んでいて本当にヒリヒリしました。
そんな切実な平穏を、よりによって五十嵐という「過去そのもの」が壊しに来るなんて、あまりにもタイミングが悪すぎて絶望感しかありません。
次はついに五十嵐と遭遇してしまうのでしょうか?続きが気になりすぎます。
湊の「善意」と美姫の「警戒」の空回り
湊は彼なりに、輪に入れない小雪を気遣って「質問攻め」でなんとか会話に引き込もうとします。
でも、それが逆に小雪を追い詰め、疲れさせてしまうという皮肉な構図がリアルでした。
第19話で自分の傲慢さを自覚したはずの湊ですが、長年染み付いた「孤独な子を放っておけない」というお節介な癖は、そう簡単には抜けないようです。
そんな湊の「無意識の上目線」を誰よりも早く察知し、横で鋭く睨みつける美姫の存在は、今の小雪にとって最強のガードマンですね。
美姫は湊の優しさが時として毒になることを身をもって知っているからこそ、小雪がこれ以上踏み込まれないように必死に防波堤になろうとしています。
小雪を救いたい湊の「空回りする善意」と、それを警戒して火花を散らす美姫。
どちらも小雪を思ってのことなのに、肝心の小雪本人はその板挟みでさらに縮こまってしまう。三人の善意とトラウマが複雑に絡み合って、誰も幸せになれないもどかしさが全開のシーンでした。
次はついに、この不安定な空気を全てぶち壊しかねない「五十嵐」が近づいてきます。この4人の関係に彼がどう割り込んでくるのか、目が離せませんね。
最悪のタイミングでの「五十嵐」登場
まさに「勘弁してよ…」と頭を抱えたくなるような、最悪の引きでしたね。
小雪がわざわざ市外の遠い高校を選んだのは、中学時代の自分を知る人間が誰もいない場所で、静かにやり直したかったから。
ようやく美姫やヨータ、そして湊という「今の自分」を見てくれる居場所ができ始めたこのタイミングで、過去の象徴である五十嵐が現れるのは、あまりにも残酷な追い打ちです。
特に五十嵐の「しらねー、いねーだろ」という無関心な一言が、逆に彼の存在の重さを際立たせていました。
小雪にとっては一生消えないレベルのトラウマを植え付けた相手なのに、当の本人はその存在すら忘れているかのような温度差。
この「加害者側の無頓着さ」が、再会した時にどれほど小雪の心を掻き乱すかを考えると、今から嫌な予感しかしません。
せっかくファミレスで少しずつ「日常」を積み重ねていたのに、その城壁を一気に崩しにかかるような「過去の侵食」。この後、もし学校の廊下やグラウンドで鉢合わせてしまったら、小雪のメンタルが持つのだろうか……。
これまでの穏やかな勉強会の空気が一変して、物語が一気にシリアスな局面に突入した第20話でした。
以上、第20話「不可侵」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


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