今回は、「氷の城壁」第10話「日野陽太」を読んだ感想考察(ネタバレ有)記事です。
前話については、こちらの「氷の城壁」第9話「遭遇」のネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。
「氷の城壁」第10話「日野陽太」のあらすじネタバレ

絶体絶命のピンチに陥った小雪は、対向車道にいるヨータに向かって、名前も分からないまま必死に手を振ります。
ヨータは気づいたものの、コンタクトを忘れているため「誰かが手を振っている」程度にしか見えず、そのまま通り過ぎてしまいます。
それを見た怪しい男たちは、小雪が無視されたと爆笑しますが、恐怖と悔しさが限界に達した小雪は、男の手を振り払い自ら歩き出します。
すると、再び誰かにぶつかった小雪。
そこには、横断歩道を渡るために遠回りして助けに来てくれたヨータが立っていました。小雪は小さな声で「友達のフリをしてください」と頼み、ヨータと合流することで難を逃れます。
男たちを睨みつけるような険しい表情のヨータ(実際には目が悪くて凝視していただけ)に怯み、男たちは去っていきました。
安全な場所まで逃げた後、ヨータが「モテモテじゃん」と冗談を口にすると、小雪は激しく反応します。
「あんなのは好かれているのではなく、下に見られているだけだ」と熱弁する小雪に対し、引かれることを覚悟しますが、ヨータは真顔で「あいつら ぶん殴っといたほうが良かった?」と返します。

自分の怒りを肯定してくれたヨータに、小雪は初めて深く心を開きます。
二人は目的地が同じ公民館であることから、一緒に行くことになります。
道中、互いに自己紹介を交わし、小雪は少し緊張しながらも彼を「ヨータ君」と呼ぶようになります。
さらに、共通の知人である美姫の話題で意気投合し、二人は「本当の友達」として笑い合うのでした。

しかし、そんな二人の楽しげな様子を、偶然ハンバーガーショップから見ていた雨宮湊は、信じられないものを見たかのように呆然と固まってしまいます。
以上、第10話「日野陽太」のあらすじネタバレでした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。

「氷の城壁」第10話「日野陽太」のネタバレ感想考察
第10話は、タイトル通り「日野陽太」という少年の底知れない魅力と、小雪が初めて手にした「本当の意味での理解者」との出会いに、胸が熱くなる回でした。
まず、絶体絶命のピンチで見せたヨータの行動が最高に格好良かったです。
一度はスルーしたように見せかけて、実は横断歩道まで走って遠回りして助けに来ていたという事実。
この「スマートすぎない誠実さ」こそが、小雪が最も必要としていたものでした。
ド近眼ゆえの「険しい顔」が図らずも男たちを追い払う武器になるというコミカルな描写も、ヨータらしい「計算のない強さ」を感じさせます。
何より深く心に響いたのは、小雪の怒りに対するヨータの反応です。
小雪が「モテているわけじゃない、下に見られているだけだ」と吐き出した、心の奥底にある屈辱。普通なら「考えすぎだよ」と流してしまいそうな重い言葉に対し、ヨータは「あいつら ぶん殴っといたほうが良かった?」と真顔で返しました。
この言葉は、小雪の傷を「正解・不正解」で判断するのではなく、彼女の怒りをそのまま肯定した、究極の優しさです。
これによって小雪の「城壁」は、外から壊されるのではなく、中から自然と崩れ落ちたのだと感じます。
「ヨータ君」と呼び、自然と笑顔を見せる小雪の姿には、読んでいて親心のような安心感を覚えました。
美姫の「素のキャラ」を良いと言ってくれる感性の一致も含め、二人が「本当の友達」になれた瞬間は、物語の大きな転換点と言えるでしょう。
しかし、ラストシーンの雨宮湊の表情がすべてを物語っています。
自分が「鍵師」としてあれほど苦戦していた小雪の笑顔を、親友のヨータが(しかも無自覚に)あっさり引き出している光景。
湊の全能感が打ち砕かれた瞬間、彼の中にどんな感情が芽生えるのか。
小雪の成長への喜びと、今後の人間関係の波乱への予感が混ざり合う、非常に濃密なエピソードでした。
「ぶん殴っといたほうが良かった?」ヨータの圧倒的な肯定感
第10話において、小雪の心を最も強く動かし、読者の胸を打ったのは、間違いなくヨータのこの一言でした。
小雪がこれまでずっと苦しんできたのは、他人から勝手に「可愛い」「モテる」というラベルを貼られ、その裏にある嫌悪感や恐怖を「考えすぎ」「自意識過剰」と片付けられてきたことでした。
男たちに車に乗せられそうになった屈辱を、小雪は「下に見られている」と激しく訴えます。
それは彼女が自分の城壁を守るために抱え続けてきた、誰にも理解されない「孤独な怒り」でした。
それに対し、ヨータは「そんなことないよ」という安易な慰めや、「危ないから気をつけなよ」という説教を一切しませんでした。
代わりに口にした「あいつら ぶん殴っといたほうが良かった?」という言葉は、小雪の怒りが正当なものであることを、彼女以上に激しく肯定するものでした。
この言葉の凄さは、ヨータが「小雪の立場で、一緒に怒ってくれた」という点にあります。
小雪にとって、これまでの周囲の人間(特に湊のようなタイプ)は、彼女の壁を「どうやって崩すか」を考える存在でした。
しかし、ヨータは壁を壊そうとするのではなく、壁の中にいる小雪の隣にスッと座り、彼女が見ている景色を一緒に眺めてくれたのです。
自分の傷つきを「正解」として受け止めてもらえた瞬間、小雪の張り詰めていた緊張は解け、彼女は初めて自分の意志で城壁の門を開くことができました。
計算も裏もなく、ただ目の前の相手が不当に扱われたことに憤る。
そんなヨータの真っ直ぐで圧倒的な肯定感こそが、氷のように固まっていた小雪の心を溶かす、最強の「熱」になったのだと感じる名シーンでした。
「友達のフリ」から「本当の友達」へ
第10話の最も鮮やかな展開は、身を守るための「偽りの関係」が、わずか数分の会話を経て「本物の信頼」へと昇華していくプロセスでした。
最初は、危機を脱するために小雪が差し出した「友達のフリをしてください」という切実なSOS。
これは小雪にとって、赤の他人に助けを求めるという最大級の妥協であり、打算的な行動でした。
しかし、その「フリ」をヨータが全力の誠実さ(と、目が悪いゆえの全力の睨み)で全うしてくれたことで、二人の距離感は一気に縮まります。
決定打となったのは、その後の自己紹介と価値観の共有です。
小雪はこれまで、他人から「氷の城壁」と称されるほど、自分の内側を見せることを拒んできました。
しかし、ヨータの飾らない性格と、自分の怒りをそのまま受け止める包容力に触れ、彼女は気づかぬうちに「フリ」を脱ぎ捨てていきます。
特に印象的なのは、美姫に対する評価が一致した瞬間です。
小雪が大切にしている「美姫の本当の良さ」を、ヨータもまた「あのままの方がいいキャラ」と全肯定した。
この共鳴こそが、小雪に「この人なら壁を解いても大丈夫だ」という確信を与えました。
物語の冒頭では名前すら呼べなかった相手を、最後には自らの意志で「ヨータ君」と呼び、自然な笑顔を見せる。
それは、打算で始まった「フリ」の関係が、お互いの本質を認め合う「本当の友達」へと脱皮した瞬間でした。
湊がどれほど計算高くアプローチしても辿り着けなかったその場所へ、ヨータはただ「誠実であること」だけで到達してしまった。
この二人の純粋な友情の成立は、小雪の閉ざされた世界に新しい風を吹き込む、感動的なターニングポイントとなりました。
「友達のフリ」から「本当の友達」へ
第10話の最も鮮やかな展開は、身を守るための「偽りの関係」が、わずか数分の会話を経て「本物の信頼」へと昇華していくプロセスでした。
最初は、危機を脱するために小雪が差し出した「友達のフリをしてください」という切実なSOS。
これは小雪にとって、赤の他人に助けを求めるという最大級の妥協であり、打算的な行動でした。
しかし、その「フリ」をヨータが全力の誠実さ(と、目が悪いゆえの全力の睨み)で全うしてくれたことで、二人の距離感は一気に縮まります。
決定打となったのは、その後の自己紹介と価値観の共有です。
小雪はこれまで、他人から「氷の城壁」と称されるほど、自分の内側を見せることを拒んできました。
しかし、ヨータの飾らない性格と、自分の怒りをそのまま受け止める包容力に触れ、彼女は気づかぬうちに「フリ」を脱ぎ捨てていきます。
特に印象的なのは、美姫に対する評価が一致した瞬間です。
小雪が大切にしている「美姫の本当の良さ」を、ヨータもまた「あのままの方がいいキャラ」と全肯定した。
この共鳴こそが、小雪に「この人なら壁を解いても大丈夫だ」という確信を与えました。
物語の冒頭では名前すら呼べなかった相手を、最後には自らの意志で「ヨータ君」と呼び、自然な笑顔を見せる。
それは、打算で始まった「フリ」の関係が、お互いの本質を認め合う「本当の友達」へと脱皮した瞬間でした。
湊がどれほど計算高くアプローチしても辿り着けなかったその場所へ、ヨータはただ「誠実であること」だけで到達してしまった。
この二人の純粋な友情の成立は、小雪の閉ざされた世界に新しい風を吹き込む、感動的なターニングポイントとなりました。
以上、第10話「日野陽太」の感想考察でした。
次の話は、こちらの「氷の城壁」全話ネタバレ感想考察をどうぞご覧ください。


コメント